”花の風景画展で特選”をいただきました。
公募展「地展」をご存知でしょうか?
第39回地展に行ってきましたので、そこで気に入った作品をもとに、本展の素晴らしさと風景画の見どころを解説します。
風景画初心者の方に、きっと参考にしていただけると思います。
風景画好きの公募展、地展をご紹介
私は、今回で「地展」に3回連続で出品しています。
初回は、私が住む香川県にある善通寺市がテーマでした。
公募をネットで見かけ、近場で開催されることを知り応募した次第です。
それ以来、「地展」への出品を通じて、私自身の絵が育てられたように思っています。
それは何よりも、『絵に込める思い』を持って絵を描くことの大切さを知ったことです。
というのも、それまでは絵を描くときに、漠然としかそんな思いを持たなかったからです。
それでは、人の心に訴えかける深みのある風景画にはなりませんよね。
「地展」のように毎回新たなテーマが示され、他の人との差別化が求められると、否応なしに色々と考えをめぐらせます。
例えば、善通寺市といっても次のように色んな切り口があります。
- 弘法大師の生誕地であること
- 陸軍の駐屯地であったこと(現在は自衛隊)
- 素敵な四国霊場八十八か所のお寺がいくつかあること
- 豊かな自然があること
なので、作品制作にあたって、
- どこをモティーフにしたら善通寺の特徴を上手く出せるのか?
- 作品では、どんなことを伝えるのか?
- 伝えるにはどう表現すれば良いのか?
こんなことを、真剣に考える必要があります。
それが、本当に貴重な経験でした。
最近は、絵を描くときに「自分はこの絵にどんな思いを込めるのか、それにはどのように表現すべきか」ということを、できるだけ整理しておくようにしています。
地展さんに感謝です。
第39回地展とは!
「地展」をご紹介
「地展」とは、愛媛県を中心に活動するNPO法人地域美術展協会が主催する「風景画の公募展」です。
詳しくは「地展」のホームページをご覧ください。
毎回、風景画のテーマが出題され、応募者はそれに沿った風景/モティーフを決めて描きます。
地展は、次のような理由で私の好きな公募展の一つです。
- 風景画の公募展であること
- 出品に際して負担にならない、あまり大きくないサイズ(最大30号程度)
- テーマへの対応力が問われ、非常に勉強になる
- スタッフさん達のアットホームな雰囲気が好き
第39回の地展について
今回のテーマは下のポスターんの通りです。
![”花の風景画展で特選”第39回地展](https://fukutoraku.com/wp-content/uploads/2024/03/ようこそ花の里p縮小.jpg)
愛媛県美術館の新館で開催されました。
展示作品数は89点、そのうち一般の入選作が71点、審査員の方々の特別出品が18点でした。
今回は多分、ほとんど全ての作品が入選されたと思います。ただし、決して見劣りのする作品はありませんでした。
39回目ということで、実質、常連さんが多いのでしょうし、その分洗練されてきているのだと思います。
愛媛といえば、正岡子規や夏目漱石、大江健三郎を産んだ場所、なんか文化の香りを感じますね。
![”花の風景画展で特選”第39回地展](https://fukutoraku.com/wp-content/uploads/2024/03/IMG_6244のコピー.jpeg)
話は変わりますが、
この展覧会では、いつも主催者やボランティアスタッフの方などが気軽に声をかけてくださいます。
ありがたいですね。
この展を盛り上げて行こうという気持ちが伝わってきます。
今回は、さる方から「福家さんのホームページを時々見てます」と言われ、ますます「地展」のファンになりました。🤗
単純なものです。
私の出品作品
私は、幸運にも今回は『特選』、前回は『愛媛県知事賞』をもらいました。
2作品ともに大変高い評価をいただき、恐縮しています。
私はできれば、作品に「ストーリーを持たせる」ようにしたいと思っていますが、そんなところが評価されたのかもしれません。
前回のことは当ブログにupしていないので、両作品を掲載させてもらいました。
作品「天空の花畑」油彩画 F30
第39回 特選
これは、香川県の志々島(ししじま)の風景です。
私は、「花の里」というテーマを知ってから、取材に香川県内のいくつかの場所を訪れました。
志々島は、その中で最も気に入った場所でした。
この島は、かって「花の島」と呼ばれるくらいに花栽培が盛んでした。
しかし、高齢化、過疎化などの影響で花栽培をやめていました。
最近になって、島のおばーちゃんが「昔の美しい姿を取り戻そう」と一念発起!
おかげで、素晴らしい花の島が甦りました。
そんなおばーちゃんの姿も入れて、島の物語を描きたいと思った次第です。
snsでも評判が良かった作品です。
![”花の風景画展で特選”第39回地展](https://fukutoraku.com/wp-content/uploads/2024/03/IMG_6233のコピー.jpeg)
この絵が出来上がるまでを、1分動画にしています。
また、私の「絵の描き方」を下にまとめています。
興味ある方はご覧ください。
![”花の風景画展で特選”第39回地展](https://fukutoraku.com/wp-content/uploads/2024/03/2024-03-10-10.19の画像.jpg)
作品「神の峰へ」油彩画 F30
第38回 愛媛県知事賞
これは愛媛県知事賞をもらった前回の作品です。
地展の出題/テーマは「霊峰石鎚・神の社を描く」でした。
出品作品には、石鎚山そのものを描いた絵が多かったですが、私は中腹にある石鎚神社の光景を描きました。
石鎚山は、四国山地西部に位置し、標高1982m/西日本最高峰です。
この山は急峻な山で、古くは修験者の修行の場でした。
描いた門は石鎚山の登山口となるものです。
立派な門の姿が、「これから登る山の険しさ、そして安全を願う登山者の心」を物語っているように感じて絵にしました。
門の左右に石鎚山/山頂の『秋と冬の光景』を忍ばせ、『山の美しさと険しさ』を暗示させました。
また、太いしめ縄を気に入って、特に丁寧に描きました。
![”花の風景画展で特選”第39回地展](https://fukutoraku.com/wp-content/uploads/2024/03/IMG_2538.jpeg)
私が気に入った作品
私が気に入った作品をピックアップして紹介させていただきます。
誠に勝手ながら、それぞれに一言ずつコメントをつけています。
風景画初心者の方に少しでもお役に立てればという思いからなので、勝手なコメントですが、お許しいただけると幸いです。
これから、風景画をたしなもうと考えておられる方に、参考にしてもらえることを願っています。
特選作品
作品「ハイビスカス」
井川浩さん アクリル画
この方は北海道の方とのことで、遠方からの出品でした。
この作品を含めて3点を出品されており、作品の素晴らしさと共に、制作意欲に驚かされました。
左の前面に大きくハイビスカスを配置した構図が素敵です。
また、アクリル画の特徴を活かした強烈でクリアな配色が、温暖な南の気候を印象つけています。
四国でも室戸でハイビスカスを見れるようです。
![”花の風景画展で特選”第39回地展](https://fukutoraku.com/wp-content/uploads/2024/03/IMG_6232のコピー.jpeg)
作品「あじさいの里」
栗原正喜さん 水彩画
四国中央市新宮あじさいの里の風景です。
私もここに訪れたことがあります。
山間の斜面一面に紫陽花が植えられ、大変美しい場所です。
この作品は『紫陽花の美しさ』と『自然の壮大さ』の両方を楽しませてくれる作品ですね。
左側にすっくと立つ2本の杉の木が人のようにも感じられ、不思議な感覚に誘い込んでくれます。
目線が奥に向かって綺麗に流れていきます。
素敵な対角線構図です。
![”花の風景画展で特選”第39回地展](https://fukutoraku.com/wp-content/uploads/2024/03/IMG_6239のコピー.jpeg)
入選作品
作品「ゼラニウム」
井川浩さん アクリル画
これも先ほどの井川さんの作品です。
イラストぽく、簡潔に表現されており、そこが魅力ですね。
一目て惹きつけられる作品でした。
![”花の風景画展で特選”第39回地展](https://fukutoraku.com/wp-content/uploads/2024/03/IMG_6238のコピー.jpeg)
作品「咲き誇る花桃と朽ち行く廃屋」
岩崎信也 油彩画
桃の花は私も大好きなモティーフです。
これは、久万高原町中津の「花桃の里」の風景とのこと。
この作品では、手前に桃の花びら、廃屋、並んだ桃の木々、山々と順に描かれており、見る人の目を飽きさせません。
どれも鮮やかに丁寧に描かれており、気に入った作品です。
ただ、右側の大きな山が視線の流れを止めているように感じました。
どう思われますか?
![”花の風景画展で特選”第39回地展](https://fukutoraku.com/wp-content/uploads/2024/03/IMG_6242のコピー.jpeg)
作品「秋の向日葵」
亀井邦隆さん 油彩画
これは、宇和島市鬼北町のひまわり畑の風景です。
ひまわりは夏の花かと思っていたら、遅咲きのひまわりもあるのですね。
手前にひまわり、中間に家屋、奥に紅葉と並んでいます。
どれも緻密に描き込まれていて美しいですね。
ただ、3つが同じ強さで描かれているのが、やや気になりました。
それは作者の思いなんでしょうから、尊重すべきですね。
![”花の風景画展で特選”第39回地展](https://fukutoraku.com/wp-content/uploads/2024/03/IMG_6250のコピー.jpeg)
作品「春景松山城」
山下拓さん 油彩画
松山城を見上げた風景です。
「桜の色が平和な現代」を「城のモノトーンが戦争の時代」を象徴しているように感じました。
ドラマティックで素敵な絵ですね。
ただ、右下の緑の木が少し気になりました。
私は『手前の緑の木を描かずに空を広くする』か、『もっと桜を増やす』方が良かったのかもと思いました。
いかがでしょう?
![”花の風景画展で特選”第39回地展](https://fukutoraku.com/wp-content/uploads/2024/03/IMG_6248のコピー.jpeg)
作品「恋」
中村梨栄さん 油彩画
小作品なので、賞の対象外でしょうが、私は気に入った作品です。
全体が一つのトーンで描かれており、安らぎを与えてくれますね。
花びらかいきいきとしています。
油彩の特性が活かされていますね。
![”花の風景画展で特選”第39回地展](https://fukutoraku.com/wp-content/uploads/2024/03/IMG_6251のコピー.jpeg)
特別出品作品
作品「さくらの頃」
中山以佐夫さん 油彩
宇和島の風景だそうです。
宇和島にこんな急峻な山があったかな?
もしかしたら、デフォルメされているのかもしれません。
とにかく、雄大な大自然のもとで、すっくと立っている1本の桜が力強いです。
それが、凛とした作者の気持ちを感じさせてくれます。
色相環上、ピンクと緑は補色の関係なので、余計に桜が引き立って見えますね。
![”花の風景画展で特選”第39回地展](https://fukutoraku.com/wp-content/uploads/2024/03/IMG_6237のコピー.jpeg)
作品「春」
尾崎芳博さん 油彩
ご自身の感性で描かれた素敵な絵ですね。
部分的にイラストっぽく描かれていて、そこがまた魅力です。
風景画の場合、ややもすると現実の姿にひっぱられがちで、既視感のある、つまらない絵になりがちです。
自分で画面構成をして描くことの大切さを教えてくれる、良い作品だと思いました。
![”花の風景画展で特選”第39回地展](https://fukutoraku.com/wp-content/uploads/2024/03/IMG_6247のコピー.jpeg)
作品「桜の約束」
薦田登志夫さん 版画
キャプションに今治市とだけ描かれていました。
版画作品ですが、魅力満載でしょ!
対角線構図、そして手前から奥に向かって黄色→ピンク→ブルー(明→暗、暖→寒)と塗り分けて、配色で遠近感を持たせています。
なので、画面に動きが与えられています。
路面のピンクも美しいです。
こんな絵を描きたいものです。
![”花の風景画展で特選”第39回地展](https://fukutoraku.com/wp-content/uploads/2024/03/IMG_6235のコピー.jpeg)
作品「見奈良で踊る秋桜」
二神恵子さん 油彩
見奈良は、松山市の隣町の東温市に位置します。
春には菜の花、秋にはコスモスが見れるそうです。
主役のコスモスの花が大きく強調され、また大変鮮やかですね。
油彩画ですが、花びらがアクリル画のようにクリアに描かれています。
一方、遠景は優しいトーンで描かれていて対比が素敵です。
![”花の風景画展で特選”第39回地展](https://fukutoraku.com/wp-content/uploads/2024/03/IMG_6234.jpeg)
最後に
いかがでしたか。
素晴らしい作品ばかりでしょ!
表彰式があって賞状をもらってきました。
副賞は無しで、少しさびしかったですが🤗
![”花の風景画展で特選”第39回地展](https://fukutoraku.com/wp-content/uploads/2024/03/IMG_6253のコピー.jpeg)
こんな感じで、他にも公募展のことを取り上げています。
こちらのカテゴリーを是非とも覗いてください。
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