”色彩のトーン”を使うのは、デザインの世界と思っておられませんか?
確かに、商品デザインではカラーイメージが非常に大切です。
絵画でも色彩のトーンを生かしてイメージを自在に操ることで、表現したいことを上手く伝えられたら。
そんな話に付き合ってください。
色彩のトーンで絵画のイメージを操る
ここでは、色彩のトーンを意識することで、絵画作品の雰囲気や見え方を変えていく方法について解説します。
この方法は、前回解説しました「絵画を光と陰影の色味で捉える」とは別の考え方です。
色彩の知識をまた一つ増やしましょう。
下のurlで前回のページもご覧ください。
色彩のトーン分類と利用方法
色彩のトーン分類とは
トーン分類とは明度と彩度によって分けられた色の分類のことです。
トーンの分類を知ることで、絵の雰囲気をコントロールし、見た側の印象を変えることが出来ます。
例えば、自分の伝えたいトーンの面積を大きくしたり、狙いのイメージのトーンで全体を統一したりして、絵を構成します。
そうすることで、自分の伝えたい世界観やイメージを伝え易くなります。
12種類のトーンと特徴
トーンは、下の図でご覧いただけるように、12種類に分類されます。
この図は縦が明度、横が彩度です。
上に行くほど、明度が高くて明るいです。右に行くほど彩度が高く鮮やかな色です。
![色彩のトーンについて解説](https://fukutoraku.com/wp-content/uploads/2022/07/pccs_tone.jpeg)
12種のトーンは、それぞれの与える印象が異なっています。
ひとつづつ解説していきます。
ビビットトーン
![色彩のトーンについて解説](https://fukutoraku.com/wp-content/uploads/2022/07/ビビットトーン.jpeg)
純色のことで、最も鮮やかな色です。
鮮やかで目をひきやすく、生き生き活発な印象を与えます。
ブライトトーン
![色彩のトーンについて解説](https://fukutoraku.com/wp-content/uploads/2022/07/ブライトトーン.jpeg)
明度、彩度ともに高めのトーン。
明るく、陽気で、華やかな雰囲気です。
カラフルで明るい印象に合います。
ストロングトーン
![色彩のトーンについて解説](https://fukutoraku.com/wp-content/uploads/2022/07/color03_04.jpeg)
ブライトトーンと彩度は同じだが明度が低いトーン。
明るさよりも力強さを感じる色で、アクティブで情熱的なイメージを与えます。
純色に白と黒を混ぜて、彩度を低くしています。
ディープトーン
![色彩のトーンについて解説](https://fukutoraku.com/wp-content/uploads/2022/07/tone-deep.jpeg)
明度は低めですが、彩度が高いトーンです。
大胆で印象的な色味であるため、強いインパクトを与えます。
若者向けのイベントやお店の広告などにもピッタリです。
ライトトーン
![色彩のトーンについて解説](https://fukutoraku.com/wp-content/uploads/2022/07/pccs_light.jpeg)
明度が高いが、彩度は中程度です。
純色に白を混ぜたような澄んだ色味です。
柔らかくて、軽やかな印象で明るい雰囲気、しかも落ち着きを感じます。
ソフトトーン
![色彩のトーンについて解説](https://fukutoraku.com/wp-content/uploads/2022/07/pccs_soft.jpeg)
彩度、明度ともに中程度で、いわゆる中間色ですね。
優しく、穏やかで、柔らかな雰囲気を感じます。
優雅さや上品といった、大人っぽい一面もあります。
特に、暖色系を基調にすると穏やかな印象を与えます。
ダルトーン
![色彩のトーンについて解説](https://fukutoraku.com/wp-content/uploads/2022/07/o0750075214513708337.jpeg)
彩度が低い、鈍くてくすんだ色味です。
秋の日ような、落ち着いてゆったりとした印象を与えます。
大人っぽい、おしゃれ感を出すのに向いています。
ダークトーン
![色彩のトーンについて解説](https://fukutoraku.com/wp-content/uploads/2022/07/pccs_dark.jpeg)
言葉のとおり、暗い色調です。
正確には「有彩色(赤、青、黄緑など)」の純色に黒を混ぜてできる澄んだ暗い色調です。
大人っぽさや重厚感を印象付けます。
彩度が低過ぎないので、暗いイメージを与え過ぎずに使えます。
ペイルトーン
![色彩のトーンについて解説](https://fukutoraku.com/wp-content/uploads/2022/07/pccs_pale.jpeg)
淡く澄んだ色味を指します。
彩度が低くて明度が高いので、白っぽい印象です。
淡めの色ですので、これだけだと全体に弱くなりがちです。
上手く組み合わせて使うと、良さが生きてきます。
優しくポップな雰囲気を与えます。
ライトグレイ一シュトーン
![色彩のトーンについて解説](https://fukutoraku.com/wp-content/uploads/2022/07/o0573052413712448256.jpeg)
ペイルトーンよりも明度を落とした、彩度が低い色味です。
明るいですが、やや濁った渋いトーンですので、穏やかで落ち着きのある印象を与えます。
補色をぶつけて使うと鈍さと対比されて良い効果が得られます。
暖色系を基調にすると、より穏やかで落ち着きのある雰囲気になります。
グレイッシュトーン
![色彩のトーンについて解説](https://fukutoraku.com/wp-content/uploads/2022/07/pccs_grayish.jpeg)
明度はやや低め、彩度も低めの色味をしています。
明るすぎず、暗すぎない中間色です。
落ち着いており、しかもナチュラルで上品な雰囲気です。
また、レトロちっくやオーガニック感も演出することができます。
ダーグレイイッシュ
![色彩のトーンについて解説](https://fukutoraku.com/wp-content/uploads/2022/07/dark-grayish-tone-s.jpeg)
明度、彩度ともに最も低く、純色に黒を混ぜた重たい色味です。
単独で使用するのでなく、他のトーンと組み合わせて使うと良いとされています。
例えば、このトーンを基調にして、アクセントにビビットトーンを使うと、より華やかな演出ができます。
色彩のトーンをどう生かす?
画面全体を渋いイメージのモティーフ(固有色)と色面で統一したり、また鮮やかなモティーフ(固有色)と色面で統一したり、そんな風にトーンを使います。
モティーフが持っている色相や彩度などを組み合わせて画面を構成していく考え方ですね。
例えば、ダークなイメージを伝えたい時に、優しくポップなイメージのペールトーンをメインにすると狙ったイメージが伝わりません。逆も然りです。
そこでトーンの知見を持っておき、絵画作品を作る際に、自分の作品のイメージに合わせて適切なトーンを選ぶのです。
作品の雰囲気とか、イメージに合わせて色味を選ぶと言うことです。
自作絵画での試み
私は主に風景画を描いています。
風景画の場合は、モティーフそのものの特性や、季節、天候、時間帯などによって、ふさわしいトーンがあります。
そのトーンを強調してあげると、自然なイメージを表現できます。
この絵は春の雨の日を描いた作品です。
春の雨の日には、なぜか穏やかで、心優しい気持ちになりませんか?
そんなイメージを出すようソフトトーンで描きました。
また、穏やかな印象を持ってもらえるように、暖色系を基調しています。
![色彩のトーンについて解説](https://fukutoraku.com/wp-content/uploads/2022/07/自宅雨2.jpg)
一方、違ったトーンを入れて対比させると、イメージが強調されて絵に良い効果を与えることがあります。
この作品は森をストロングトーン、神社をダークトーン、下の部分をペールトーンで描きました。
秋の晴れた日の神社の光景です。
ここでは神社とその森が主役なので、それらを重厚な、あるいは力強いイメージにしました。
子供たちはペールトーンでポップな雰囲気にして、神社や森の重厚さと対比させました。
![色彩のトーンについて解説](https://fukutoraku.com/wp-content/uploads/2022/07/IMG_2255.jpg)
狙い通りに描けていますでしょうか?🤗
どんどんチャレンジしましょう。
最後に
前回のページでも書きましたが、絵を描く際に唯一無二の正解の方法はないようです。
ルールのない中で自分なりの正解や方法を見つけなければならないのです。
色彩については、他にも下のようなページがありますので、そちらもご覧いただき、是非とも色彩の引き出しを増やしてくださいね。
Youtubeにも投稿しています
「風景画の旅」と題して、国内外の素敵な風景と自作の絵画を動画にしてYoutubeに投稿しています。
素敵なモティーフが見つかるかも!
こちらから、ご覧ください。良かったらチャンネル登録もお願いします。