”印象的な風景画”を描きたいと思いますよね?
一目で惹きつけられるような作品、あんな絵を描けたら!
実は、絵の印象は構図でほぼ決まると言われています。
だけど、どうやったら印象的な風景画の構図になるのでしょうか。
このページがヒントになれば幸いです。
印象的な風景画の構図とは!
構図の話に入る前に、「絵画とは、そもそもどんな要素で成り立っているのか」について、少しお話しします。
絵画を構成する要素とは!
絵画を成り立たせている要素について、こんなふうに学びました。
①配置:描こうとする対象(主役)をどのくらいの大きさにして、どの位置に置くか。
②形・線:「主役の形」や「視線を誘導する線」
③明暗:光や陰影
④空間:立体感や遠近
⑤固有色:それぞれの色合いや色面構成
⑥質感:動物の毛やガラスなどの固有の質感
⑦画材のコントロール:その画材ならではの味わい
良い絵にはこれらの要素が画家の意図通りに盛り込まれているのです。
このうち、①配置、②形・線、③明暗、④空間までを構図と呼びます。
構図で絵の印象がほぼ決まると言われるくらい、構図は大切な要素です。
風景画と人物画や静物画との違い
抽象画はさておき、具象画にはいろんなモティーフがあります。
風景画、人物画や動物画(犬や鳥、魚など)、静物画(花や果物など)といったところでしょうか。
人物画、動物画、静物画は、魅力ある位置に主役や光源を配置して画面を構成してから絵にします。
このような絵では、主役の配置、形や陰影が重要です。
主役以外は主役を引き立てるための付属物になります。
そのため、主役の背景は単色で塗られることも多いです。
一方、風景画はもののフォルム(形)よりも空間が主題のテーマなので、空間をどのように切り取って構成するかが大事なのです。
静物画のように、風景(例えば山・川や雲)を自由に魅力的に配置できると良いのですが、それは慣れていないと大変難しいことですし、不自然な絵になりがちです。
そのため、ややもすると見たままの風景にひきづられがちで、結果として印象が薄く、インパクトの弱い絵になってしまいます。
そんな経験はありませんか?
だから、風景画では人物画や静物画以上に、構図に気を配り、少しでも魅力的な構図になるよう配慮する必要があるのです。
風景画での構図の決め方とは!
風景画の構図には、このような配慮が大事と言われています。
- 画面上の明暗の形のバランスの良さ
- 光と影の印象の良さ
- 絵に動きがあること
- 遠近が直感的にわかること
一言で言えば、風景画では明暗の形や強さで画面を構成した段階で、うまく空間とか光の演出ができていることが大事なのです。
単純に言うと、「白黒グレーにしてもかっこいい絵、美しい形、遠近がわかりやすい」ということです。
この絵は私が油彩を学んだ時の絵です。構図の見本として良い例だと思いましたので添付しました。
私は写真から描いていますので、写真を白黒にして構図を確認し、良いところを切り抜いています。
その上で、さらに魅力を増すように人や物を加えて配置しています。
また最近は、グリザイユ技法的に最初はモノクロ(油彩)で描くようにしています。
モノクロで一旦描き切ってから固有色を載せています。
モノクロで描いていく段階で、だんだんと光と影の印象が見えてくるので、自分の感性で光と影の強さや形を調整しながら仕上げていきます。
私は、画像作成アプリClip Studio Paintを使っています。
色に悩むと、制作段階の絵を撮影してアプリに取り込み、
これに大まかに着彩し、どのような色味で描き進めるか決めています。
アプリはなんでも良いので、試してみてはいかがでしょう。
構図のストックを増やそう!
上で構図の決め方を書きましたが、どれが良い構図なのかわからないと、話になりません。
構図のプロになるには、良い絵をたくさん見て、その良さを蓄積していくことが大切です。
モネやスーラなど著名な画家の作品でも良いですが、展覧会で賞を取った絵などは身近な良い例になります。
「その絵の良いところ、自分にないもの」、そんなところを見つけ、それをパターン化します。そして頭の中の引き出しにストックしておき、構図を決める時の手がかりにしましょう。
以下は「第7回jam公募展」で大賞や審査員特別賞を受賞した作品です。
このjam展は何気ない日常の風景を独自の感性で絵にした作品が多いので、構図の勉強になろうかと思います。
大賞「今朝の通学路」
通学する児童たちと誘導する人達
明暗だけで子供たちの足の運びや動きを感じさせてくれます。
子供たちの無秩序な動きであったり、朝の気だるい様子まで描いています。
③絵に動きがあること、②光と影の印象の良さ、この2つが際立っています。
審査員特別賞「秋日和」
中央の川の流れが、高い明度で描かれており強烈な印象を与えています。
手前に大木を置いて、主役の川、そして背景に里山と、手前から奥に流れるような構図です。
②光と影の印象の良さ、④遠近が直感的にわかること、この2つが際立っています。
審査員特別賞「猫の居る丘」
猫と人をバランスよく配置して、手前から奥に向かって視線を誘導しています。
どこか異世界に導いてくれそうです。
橋の欄干が遠近感を強調しています。
①画面上の明暗の形のバランスの良さ、③絵に動きがあること、この2つが際立っています。
どの絵もそうですが、対角線配置は絵に動きが出ると言われています。
それでは、これはいかがでしょう。よかったら試しに分析してください。
審査員特別賞「みよし野菜の並ぶ朝」
最後に
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
構図の話はいかがでしたでしょうか?
参考やヒントになれば幸いです。
絵画の描き方について他にも色々と載せていますので、合わせてご覧ください。