油彩で風景画を描き始めた方、どんな”サイズとタイプ”のものに描こうかと悩んでおられませんか。
大型作品を描くべき? 小作品をいっぱい描いた方がいい?
キャンバス?パネル?
色んな種類がありますからね。これらについて、絵との相性、個人宅での展示、公募展への参加などの面から解説します。
キャンバス・パネル選定の勘所
油絵の”サイズとタイプ”
材質では、『布を張ったキャンバス』と『板張りのパネル』が一般的です。
サイズでは、国内で販売されているものは、ほぼ『日本サイズ』と 呼ばれる規格です。それ以外にも、国外で使われている『フランスサイズ』、国際美術連盟の定める『国際サイズ』があります。
日本サイズのキャンバスとパネルのサイズ一覧は下のurlでご確認ください。
キャンバス・パネルの材質について
キャンバス(布張り)とは
一般に油絵というと木枠に麻布などを張ったキャンバスを使用しています。
ベネチアでは船舶に使われていた帆がたくさんあったため、それに描くようになったのが始まりのようです。大きいキャンバスでも軽いので助かりますね。
布の材料には、麻、綿、化繊があります。綿は安いですが、湿度によって伸縮します。化繊は変質しにくい布ですので、これでも良いのですが、本物思考のプロは麻布を使っているようです。
布目には細目、中目、荒目があります。市販のキャンバスでは普通、白色に地塗りされていますので、そのまま描いても問題ありません。
私は中目を使っていますが、細かい絵を描くので、アクリルジェッソなどで地塗りし目を潰して描いています。画風によって選んでください。
パネル(板張り)とは
木枠にシナベニアを張ったパネルです。水彩画の水張り用にも使えます。
イタリアでも元は板に描いていたようです。下地として石膏や白亜などを塗ってから描きます。大きいと重くなるので、小作品に向いています。
下地材については別のページで詳しく説明しています。
私は、硬くクリアな感じの絵になるパネルを結構気に入っています。一度描いてみると良いと思います。
パネルF4号 油彩画(333✖︎220)
キャンバス・パネルの形(縦横比)
それぞれのモチーフを描くのに適した比率の大きさとされている為、サイズを決める際の一つの目安に出来ます。
基本的に、お好みのサイズに描けば良いですが、額縁のことを考えると、なるべく同じ形と大きさにしておいた方が良いかと思います。
Fサイズ Figure(人物)
人物を配置するのに適した縦横比ですが、無理に人物にこだわる必要はないです。
一般に、このサイズが使われることが多いです。
Pサイズより面積が大きいので、同じ号数でも見栄えします。
キャンバスF10号 油彩画(530✖︎455)
Pサイズ Paysage(風景)
Fサイズよりもやや細長いものです。
風景などを描く時に、横または縦の広がりを強調したい場合に使います。
この絵は山の紅葉ですが、縦の広がりを意識して描きました。
P20号 油彩画(727✖︎530)
Mサイズ Marine(海)
海のような広大な場所を描くのに適した細長い縦横比です。私自身、これに描いた経験はありません。
Sサイズ Square(正方形)
展覧会に出品された大型キャンバスでこのサイズを見かけることがあります。
SサイズはFやPサイズに比べて格段に大きいので、サイズ制限のある展覧会では見ごたえして有利です。
大きい絵の存在感には勝てません。🤗
その他 A、Bサイズ 変形タイプ(丸など)
コピー用紙で使うAサイズやBサイズもあります。
また六角形のキャンバスも市販されていますので試しに描いてみてください。
キャンバス・パネルの大きさ
大きさは、描いた後どのように使うかで決まります。
SM(227✖︎158)
あまりに小さいので、複雑な風景には向きません。
制作するモティーフに注意する必要があります。ただ、ポイントに絞って描く訓練には非常に良いと思います。
小作品は、友人に差し上げたり、個展などで気軽に買ってもらうのに適しています。
キャンバスSM 油彩画(227✖︎158)
3〜4号
SMサイズに比べてモティーフを選びやすいですが、小型には変わりないので、慣れるまで細かい彩色に難儀します。
個人宅に飾る場合に向いていますので、個展を開いて買ってもらおうと考えている方は、このクラスを中心に制作した方が良いでしょう。
また、このくらいの大きさですと早く制作できます。
私は、3〜4号くらいで自分が試したい手法を使ってどんどん描いてみることをお勧めします。
私の応募経験のある公募展にこのサイズのもの(jam公募展)があります。小サイズですので気軽に応募できるためか、応募数が多いようです。町の画材屋さんへ持参して応募します。
パネルF4号 油彩画(333✖︎220)
8〜10号
このくらいのサイズまでが個人宅に飾りやすいサイズになります。もっと小さいサイズでは細かい彩色が困難なので、10号くらいで始めるのが良いと思います。
10号以下制限の展覧会では上野の森美術館「日本の自然を描く展」があります。権威があり、大変参加しやすい展覧会でもありますので、良かったら応募してください。
キャンバスF10号 油彩画(530✖︎455)
15号〜20号
個展をやる時に小さい絵ばかり飾るのでなく、これくらいの絵を数枚飾っておくと見栄えします。
展覧会では、愛媛県の松山を中心に活動されている地展という展覧会があります。
尾道市が開催する2年に1回の公募展もあります。これは20号以下です。
キャンバスF20号 油彩画(727✖︎606)
30〜50号
大型の練習にはこのくらいのサイズが良いと思います。私も30号→50号と進めました。
100号クラスに挑戦する前のサイズにちょうど良いです。このクラス以上は基本的に公募展等への出品用になります。
家には飾れませんしね。
地域の公募展では50号を制限にしているものを見かけます。
私は、次の2つの公募展に出品した経験があります。
Art Exhibition 瀬戸内大賞
キャンバスF50号 油彩(1167✖︎910)
さぬき市美術展覧会(香川県さぬき市)
キャンバスF50号 油彩画(1167✖︎910)
100号以上のクラス
著名な展覧会は大抵100号クラスが基本のようです。県展もそうです。100号ともなると、制作に1年くらい費やすケースもあります。
集中して大型作品に取り組むと、確かに扱うモティーフや技法に関しては上達します。
しかし制作には相当のパワーと時間を費やすようになるので、幅広い経験はできません。また、制作途中で良い技法が見つかっても、戻って描き直すのは困難です。
私は初心者の場合、練習段階では3〜10号くらいでいろいろと試してみることをおすすめします。
キャンバスP100号 アクリル画(1620✖︎1120)
最後に
最後までお付き合いいただきありがとうございます。
参考になりましたでしょうか?
貴重なお金と時間を費やしてせっかく描のですから、自分の勉強用、公募展用、プレゼントや自分用、個展用など、いろんな意味で有意義にしたいですね。
他にも絵画の画材と描き方を解説したページがありますので、そちらもご覧ください。
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こちらもお立ち寄りください。お気に入りのモティーフが見つかるかも!