”油彩画にローラー”を使って描き、絵に隠し味を作れることをご存知ですか?
初心者の場合、塗り絵のような単調な絵になりがちなので、もう少し自然な絵にならないかとお悩みではありませんか。
そこで隠し味の出番です。
ローラー技法を中心に隠し味の入れ方を解説します。
油彩画に隠し味をつける方法
油彩画には、絵を引き立てる(絵に命を与える)ために様々な技法が使われています。
それらを取り入れる、取り入れないでは絵の出来が格段に違ってきます。
中西繁さんの本「油彩画プロの裏ワザ」には中西さん自身が見出したものを含め、いろんな技法が紹介されています。
私は、その中の「ローラーを使った隠し味技法」が気に入り、良く使っています。
ここでは、材料や描き方についてご紹介させていただきます。
合わせて、似たような技法も載せておきます。
これらは、アクリル画にも使えます。
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中西繁さんの本です。
絵画の隠し味とは何?
料理に隠し味があるのは良く知られています。
隠し味は、本来、その料理に必要なものではなく、それを加えることでその他の食材の風味を引き立ってるものです。
また、料理のちょっとしたアクセントにもなります。
例えば、お汁粉やぜんざいに少し塩を加えると甘味を引き立てますし、ワサビに砂糖を少し加えると辛味が増します。
一流の料理人は独自の隠し味を持っているようです。
ただ、使いすぎると本来の味を壊しちゃうので注意が必要です。
絵画・油彩画にも同じように隠し味があります。
隠し味を加えることで、単調な絵画に生命が吹き込まれるように感じることさえあります。
今回は私が使っている「ローラー技法」と「ラップ技法」をご紹介します。
技法と名づけるほどのものではありませんが。😂
ローラー技法とは
ローラー技法とは、ズバリ、ローラーを使って描くことです。
基本的に、粗塗りを終えて本格的に着彩する前に使います。
隠し味ですので、当然、マットにべったりと塗るわけではなく、ところどころに軽く塗っておきます。
そうしておくことで、絵が仕上がった時にそれが透けて見えたり、ところどころに見え隠れし、絵を引き締めてくれます。
甘いものにほんの少し塩味を感じる時の感覚です。
それでは、もう少し具体的に説明します。
ローラーの種類
私はホームセンターで買ったローラーを使っています。
ローラーにはいくつか種類があります。
ローラー部分がスポンジ製であったり、発泡スティロール製や鉄製のものなどが売られています。
私は、ローラー部分がスポンジでできたものを気に入っています。
なぜなら、発泡スティロール製や鉄製のものだと塗った箇所がマットにベタっとなるからです。
これでは、隠し味になりませんよね。
スポンジ製ですと、スポンジに絵の具が適度に染み込んで、色の濃淡が生まれます。
さらに、スポンジの表面が荒いので塗り跡も粗くなり、自然な隠し味が生まれす。
あくまでも隠し味ですので、でしゃばらず!
私の使っているローラーはこんなものです。
ローラー全体で塗るというよりも、先端付近のすぼんだ付近で塗っています。
スポンジの目が粗いのを見えますか?
使い古したスポンジで、すみません。😂
おすすめしないのは、こちらの発泡スティロール製です。
隠し味に使う色
私は、こんな風に色を選んでいます。
例えば、仕上がりがどんな色味になるかで決めています。
厳格にこだわる必要はありませんが、色相環上の補色に近い色が、良いようです。
少し大胆に、赤っぽい絵なら青を、青っぽい絵なら赤を隠し味にといった具合です。
色選びのポイントは、次のページを参考にしてください。
また、冬なら紫とか初夏なら緑とか、季節感や温度を感じる色もいいです。
スパイスですので、ピリッと行きましょう。
ローラーでの塗り方
絵の具にメディウム(超速乾性)を加えてナイフで混ぜます。
ここでは、溶かし油を使いません。
絵の具にメディウムを混ぜることで、ボリューム感を出せますし、絵の具の濃さを調整できます。
また、メディウムは粘性が高いのでベタッとした広がりがなく、ザラついたイメージを出せます。
絵の具の上に軽くローラーを回して少し絵の具をとり、思い切ってあちこちに塗っていきます。
下の絵は、グリザイユ技法で描いている時に使った例です。
ここから着彩していきますが、もう少し着彩した段階でローラーをかけても大丈夫です。
速乾性なので、翌日には仕上げ塗りにかかることができます。
ただし、ローラーや筆は筆洗い液ですぐに洗ってください。
解説動画を添付していますので、ご覧ください。
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超速乾性のメディウムです。
一口メモ
部分的にこの隠し味を使いたい時には、ローラーの代わりに水彩用のスポンジやペインテイングナイフを使っても良いです。
ローラーを仕上げに使った例
この絵では、木の枝の付近にローラーで赤を塗り、それで仕上げにしています。
また隠し味として、空などにも赤を塗っています。
赤を入れることで、冬だけど暖かい感じを出せているでしょうか。
ラップ技法
今度は、隠し味に食料保管用のラップを使うやり方です。
これは、アクリル画を習っているときに教わりました。
油絵でも使えますので、載せておきます。
空や地面などに使うと、自然な絵になります。
この時に塗る色は先ほどのような補色ではなく、塗りたい色かその同系色が良いでしょう。
自然な風合いとでもいうのでしょうか、そんなものが感じられるようになります。
ラップ技法のやり方
絵の具と溶き油を多めに混ぜて、ややトロッとさせておきます。(メディウムは不要)
着彩したい箇所に、筆でザッと塗ります。
そして、その上にラップをのせて、ところどころに皺をつけます。
引き剥がすと、シワの部分などに濃淡が生まれ、自然な隠し味が生まれます。
濃淡がきつすぎる場合には、もう一度ラップをかけてください。
二度目は、一度使ってシワのついたラップを使うと自然な感じになります。
下の絵は、遠方の部分にラップ技法でコンポーズブルーを乗せた例です。
これから、グリザイユでもう少し描き進めてから、全体に色を付けていきます。
ローラー技法とラップ技法を、下の動画で説明しています。
最後に
最後までお付き合いいただき、ありがとうございます。
お役に立てそうですか?
この隠し味の技法は、あまりお金がかからないので、是非とも試しにやってみてください。
初めは、スケッチブックなどで試してください。
思いがけない効果がありますよ。
こんな風に油彩画の描き方について、他にも投稿しています。
是非とも、こちらを覗いてみてください。