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油彩で花と街の風景を描いています

”油絵の下地”塗りはジェッソ、石膏?ミューグラウンドでしょ!

”油絵の下地”塗りについてご存じでしょうか?

私も初心者の時は、下地と言えばジェッソしか知りませんでした。

アクリル画では、ジェッソが標準になっていますが、油絵もそれで良いのだろうか?

他に良い下地材は?

そんな疑問について解説し、おすすめ下地材を紹介します。

”油絵の下地”はどれがいい?

油絵の下地には、次の材料が一般的に使われています。

  • ジェッソ
  • ミューグラウンド
  • 石膏地や白亜地

それぞれに特徴があります。

油絵を専門に描く方々は、使いやすさや描きやすさなどをもとに、自分にあったものを選んで使っておられるようです。

ここでは、それぞれの特徴と、
私のおすすめ『ミューグラウンド』について使い方を解説します。

なぜ下地を塗るの?
”油絵の下地”

油絵の支持体には、一般に布製のキャンバスや木製のパネルが使われています。

これらに通常、白色の下地材を塗ってから絵を描きます。

それでは、なぜ下地を塗るのでしょうか?

一つ目の役割は、絶縁層です。支持体(布や板)にそのまま油絵の具を塗ってしまうと、油が支持材に浸透して、支持材が劣化したり絵に色むらが出たりします。

そこで、下地を塗って支持体への吸い込みを抑えます。

また、下地を塗っておくと支持材自体の色の影響を受けないので、発色が良く、狙った色が出せます。

二つ目は、下地が絵の具を吸収することで、絵の具と下地が一体化することです。

結果として、長期保存にも耐えるようになります。

さらに、油絵にとっての最大の利点が、油を吸収して油絵具の乾きを早めてくれるということです。

これは、下地の材料によって違いがありますので、比べる際の重要なポイントになります。

三つ目は、下地がキャンバスや板の目潰しになるので、緻密な絵を描きやすくなることです。これは画風にもよりますね。

以上のように油絵にとって下地は大変重要な画材の一つなのです。

いろんな下地材の特徴

ここでは、それぞれの材料の特徴をご説明します。

ジェッソの特徴

ジェッソの主成分は、チタニウムホワイト、炭酸カルシウム、エマルジョンです。

チタニウムホワイトは顔料、炭酸カルシウム(石灰)は体質顔料、エマルジョンは結合材です。

エマルジョンはアクリル絵の具の結合材としても使われていますので、ジェッソはアクリル絵の具と相性が良いです。

液体タイプでチューブに入っていますので、大変使いやすいです。

ジェッソを塗ると、マットで半吸水性の画面が出来上がります。

ジェッソを塗るとき、表層以外は原液で良いと思います。水を少量(20%以下)混ぜると滑らかな画面に仕上がります。

ジェッソには、S、M、L、LLの4タイプがあり、乾燥後の肌合いを変えられます。

また色のついたジェッソもあります。

もちろん、油絵の具にも使えます。

ただし、油絵の具に使う場合は、ジェッソが完全に乾いてからにしてください。

ジェッソの水分が抜けていないと、後々、絵の具の剥離やひび割れにつながるとされています。

安全を見込んで、最低でも1週間くらいは乾かしてから描いた方が良いでしょう。

”油絵の下地”塗り
ジェッソ(Sタイプ)

ミューグラウンドの特徴

ミューグラウンドの主成分は、タルク(滑石)、炭酸カルシウム(石灰)、エマルジョンです。

炭酸カルシウムとエマルジョンはジェッソと同じですが、ミューグラウンドにはチタニウムホワイトでなくタルク(滑石)という鉱物が使われています。

古典絵画における石膏地や白亜地の優秀さを引き継ぎながら、手軽に扱えるものとして開発されました。

最大の特徴は、石膏地や白亜地と同様に高い吸水性を持っているということです。

このような吸水性の下地に描かれた絵画は、絵の具成分が下地に十分に浸透するため、下地と絵の具が一体化して堅牢な画面を形成しています。

また、吸水性下地に油絵を描くと、絵の具の触指乾燥が早いため、一日のうちに数層の塗り重ねが可能となります。

この点はジェッソよりも優れています。

ミューグラウンドのもう一つの利点が手軽さです。ジェッソと同様にプレミックス品(液体)ですので、石膏地や白亜地と違って簡単に使えます。

ミューグラウンドはお近くの画材店にはないかもしれませんが、オンラインで購入できます。

[文房堂]ミューグラウンド1000ml-マルニ画材店

”油絵の下地”塗り
ミューグラウンド

石膏地または白亜地の特徴

伝統的な油絵の下地は、石膏と白亜が有名です。

石膏地も白亜地も特徴や作り方は同じです。

ヨーロッパ各地域の産出品の違いで、石膏地と白亜地に分かれました。

この当時に使われた支持体は板でした。

下地を塗る目的は現在とほぼ同じで、当時は、薄く透明な色水のような絵の具しかなかったので、下地塗りは現在よりも重要でした。

ミューグラウンドでも書きましたが、石膏地や白亜地は吸水性が良いので、油絵の制作に適しています。

「古典絵画のような絵が描けるのであれば使ってみたい」と思う方も多いでしょう。

しかしながら、石膏地や白亜地の下地を作るのは結構面倒なのです。

材料は、膠水2:石膏(or白亜)1:チタニウムホワイト顔良1:寒水少々を混ぜて自分で作ります。

ボローニャ石膏とチタニウムホワイトは粉体です。

私は最初、作り方を先生に詳しく教わりながら作りました。

しかし、材料や器材集めの段階から苦労しました。一般の画材店にはどれも販売してないのです。

また細かいノーハウもあって、とてもレシピだけで作れるものではありません。

ということで、石膏地や白亜地は初心者にはややハードルが高い下地です。

いずれ近いうちに石膏地の作り方についても解説させてもらいます。

”油絵の下地”塗り
石膏とチタニウムホワイト
”油絵の下地”塗り
魚膠と寒水

ミューグラウンドの使い方
”油絵の下地”

ジェッソの下地については、アクリル画でよく解説されていますので、ここでは取り上げません。

ここでは、油絵におすすめのミューグラウンドについて使い方をご説明します。

販売品の仕様

ミューグラウンドは写真のように、プラスティックの小バケツの中に入っています。

その中にポリ袋に入れられたミューグラウンドの液体1000mlが入っています。

1度に1000mlも使うことはないので、私は小出ししたら都度ポリ袋をゴム輪で縛って、それからバケツの蓋がけをするようにしていますが、小出しの時に液がベタベタと手について困ります。

その点、ジェッソはチューブタイプなので手が汚れなくて好きです。

この商品は、大学用に開発されたとのことで、大勢の学生さんたちが短期に大量に使うのには、こんな収納で良かったのかもしれません。

まだ一般販売が始まって間もないようですので、そのうち、もっと取り扱いやすいものになることを期待します。😄

張りキャンバスに塗る

布の張りキャンバスであれば、何層かに分けて塗るだけです。

緻密な絵を描くのであれば、

細めのキャンバスの場合は3層、中目のキャンバスの場合、最低でも5層塗ります。

何層が良いかは、ご本人の好みの画風で決めてください。

大きめのハケで塗りますが、塗る時に1層目は縦に2層目は横にといふうに方向を変えることで、ハケ目を目立たなくできます。

塗るたびに乾かします。乾きが遅い場合にはドライヤーで乾かしてください。

塗り終わったら、数日間十分に乾かしてから表面を#400のサンドペーパーで滑らかにします。

サンドペーパーを10cm幅ぐらいの木や箱に巻き付けて使うと削りやすいです。

粉が飛ばないように、吸い込まないよにご注意ください。

木製パネルに塗る

パネルに塗る場合も、キャンバスのようにミューグラウンドを重ね塗りするだけでもokです。手軽に済ませたい場合にはこれで問題ありません。

ただ、もう一手間加わえて、1層目と2層目の間に布(コットン)を挟むことをおすすめします。

その理由は、次の通りです。

  • 布が入ることで、下地の吸水率が高まる
  • パネルの乾燥収縮に耐えるための補強材の役割
  • 表面に柔らかいコットンの凹凸が出て、絵に暖かい印象を与える

少し詳しく、そのステップを説明しますので、試してみてください。

必要な道具と材料は次の通りです。

  • 綿100%コットン(刺繍屋などで販売)
  • ガンタッカー(MAX-TGA  ステープルT3-10MB)
  • #400の紙やすり
  • ドライヤー
  • 大きめのハケ(または大きめのペインティングナイフ)
  • ミューグラウンド
  • 小皿、スプーン(ミューグランド小分け用)

ガンタッカー

ホッチキスの針を打つ機械です。

ホームセンターで買えます。

キャンバスの張り替えにも使えますので、ご購入を!

確か7000円〜8000円くらいでした。

”油絵の下地”塗り
ガンタッカーと針

作業ステップは次の通りです。

塗布前の下準備
  1. 綿100%コットンをパネルよりも各辺10cm(片側5cm)ずつ大きめにカットします。8cm以上でok.。
  2. ガンタッカーに足高1cmのステープルを入れておきます。
  3. 新聞紙を広げて、そこにパネルとコットンを並べて置きます。
  4. ミューグラウンドを小皿に出します。
    ミューグラウンドが固まらないように、小皿にラップをかけておきます。

初めての時は、バタバタしますので、まず下準備をしておきましょう。(私の失敗経験より🤗)

布貼りまで
  1. 下地0層目を塗ります。
    私は大きめのハケで塗りますが、ペインティングナイフを使う方もおられます。
  2. 0層目が乾かないうちに、パネルを裏返して塗った面をコットン中央にかぶせます。布にしわが入らないように、布の下に空気が入らないように布を伸ばします。
  3. パネルを裏返して新聞紙の上に置いて、ガンタッカーで布を留めていきます。
    少し布を引っ張りながら対角線上に留めていきます。
  4. 布の角を切り取り、処理して留めます。
  5. 布の上にさらに1層目を塗ります。

ここまでは、ミューグランドが乾かないうちに一気に進めます。そうすると、布と液が馴染んで皺のない滑らかな画面になります。

後は簡単です
  1. ハケで2層目を塗ります。急ぐ場合には、ドライヤーで乾かします。
  2. 最後にもう1層の3層目を塗ります。
  3. これで3日間ほど乾かし、サンドペーパーをかけて終了です。

 

木製パネルの場合は、上記のようにやや面倒です。

しかし、パネルに描くとなんとなく柔らかみが出るので、私は小作品では好んでパネルを使っています。

初心者の方は、パネルを使った経験がないかもしれませんが、是非ともお試しください。

分かりにくいと思いましたので、動画付きでもう少し詳しく説明することにしました。

こちらをご覧ください。

”細密な油絵の下地はこれ”!パネル作りと地塗りを解説

最後に

最後まで、読んでいただきありがとうございました。

何かお役に立てましたら、幸いです。

油絵に興味がある方は、下のurlを覗いてみてください。

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油彩画の画材と描き方

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グランFgranf1765
第二の人生に入り、軽い仕事をしながら、風景画を描いて過ごしています。現役の時に絵画を始めてから早10年以上になります。シニアや予備軍の方々に絵画の楽しみを知っていただき、人生の楽しみを共有できればとブログを始めました。