”ホックニーはこんな画家”と称して、今、大注目の画家に迫ります。
ホックニーの作品は、絵を嗜んだ人なら誰でも描けそうな絵です。
しかし、2018年に彼の作品がなんと102億円で落札されました。
ホックニーの魅力とは何なのか?
彼の経歴と作品について解説します。
デイヴィッド・ホックニーの経歴と魅力!
東京都現代美術館でデイビット・ホックニー展を観てきました。
展示作品には写真撮影可が多くあり、たっぷりと撮影してきました。😊
せっかくですので皆さんにもホックニーを知ってもらいたいと考え、このページを作成しました。
ホックニーの作品は現代人の感性にピッタリ合っていると感じます。
できるだけ詳しく解説しますので、最後までお付き合いください。
ホィックニーの経歴
デイヴィッド・ホックニー 2023年現在、86歳
1937年 イギリス中部の工業都市・ブラッドフォードで生まれました
1953年〜1957年(16歳〜20歳 )地元の美術学校/ブラッドフォード・カレッジ・オブ・アートに通っています。
この頃のホィックニーは油彩で表現主義のような絵を描いていました。
表現主義とは心の中の様子をモティーフに託して描写するというもので、ムンクの作品「叫び」は日本でも有名ですね。
ブラッドフォードとは 産業革命を背景に工場や繊維産業の中心地として繁栄してきた町です。 |
1959年〜1962年(22歳〜25歳)ロンドンの王立美術学校で学びました
在学中にイギリスのポップアートの第一人者/ピーターブレイクと共に若手現代芸術家展に出品しています
1963年(26歳)ニューヨークを訪問し、アンディ・ウォーフォールと交流します
1964年(27歳)ロサンゼルスに移ります
当時、新しい素材であったアクリル絵の具を使い始めます
1972年(35歳)代表作「芸術家の肖像画ープールと2人の人物」を制作します
この絵は2018年になんと約102億円で落札されました
これは現存作家の作品では最高落札価格です
まさに現代美術の最高峰ですね
ホックニーは同性愛者であることをカミングアウトしています。
自身の作品中でも積極的に同性愛の本質を表現しています。
このプールの作品にもそんな一端が垣間見え、作品に不思議な感覚を覚えます。
1968年(31歳)ロンドンに戻ります 1973-75年にはパリに滞在しています
1978年(41歳)再びロサンゼルスに戻ります
1997年(60歳)イギリスのコンパニオンズ・オブ・オーナー勲章を受賞
2010年(73歳)iPadを絵画制作に取り入れ始めます
2012年(75歳)イギリスのメリット勲章を受賞
メリット勲章は現存する勲章の中で最も名誉なものとされています
現在もロンドンとカルフォルニアに住居とアトリエを持って活動しています。
作品「家の辺り(夏)」 2019年
「家の辺り」と題されており、後述の巨大絵巻「ノルマンディーの12ヶ月」の習作ようです。
簡単なスケッチブックに筆ペンで描かれた作品ですが、拡大して展示されています。
こんなモノクロ画も魅力でしょ!
ホィックニーの作品
ホィックニーの作品は、アメリカ西海岸の明るい陽光を感じさせる華やかな色調が特徴です。
次のようなものをモティーフとして描いています。
- 室内風景
- プールのある邸宅
- 人物
- 自然の風景
また、素材は次のようにさまざまで、なんでもありという感じです。
- 油彩画
- 水彩画
- アクリル画
- クレヨン画
- 写真を貼り付けたコラージュ作品
- iPadで制作した作品
ホックニーの作品制作への思い
ホックニーは、アクリル絵の具やiPadをいち早く取り入れてきました。
時代の流れに敏感に反応してきた画家と言えるのではないでしょうか。
ホックニーは「25人のために作品を作るなんてまっぴらだ」と語っています。
それは、25人すなわち「批評家や大学の先生」など特定のコミュニティしか理解されない作品を作りたくないという意味です。
例えば、一般に抽象画は「高度な美術教育を受けていない人には理解しにくい」と言われています。
また最近の美術界では、もう絵でさえなくて、インスタレーションという立体表現手法が主流になっています。
ホックニーは「多くの人に『自分がいい』と思った風景を見てもらいたいし、届けたい」と語っています。
抽象画やインスタレーションの全盛時代にあっても、ホックニーは一般人にも理解しやすい具象画・風景画を制作し続けてきました。
ホックニーは、若い頃にはアンディ・ウォーホールと共にポップアート運動に参加していたこともあります。
しかし、ホックニーはそれとは異なる道を歩んできました。
ある意味、西洋美術の王道をそのまま歩んでいるとも言えますが、一方で作風、表現方法をどんどん変え、そこに自分なりの考えを入れ込み、新たな表現を見出してきた人です。
こんな画家が多くの人々に人気があるのは、自然なことですね。
作品「春の到来 イーストヨークシャー、ウォルドゲート 2011年 111-122」
ホックニーはこれまで何度も「春の到来」をテーマにした作品を制作しています。
この作品は、冬から初夏(12月28日から6月2日)にかけ、彼の故郷の同じ場所に出かけて制作した作品です。
個別の作品名は日付になっています。
刻々と変わる光と色をiPadを使って素早く表現しています。
とにかく色彩が鮮やかかつ大胆で、特にオレンジやピンクを路面に使ったことには驚かされます。
作品「春の到来 イーストヨークシャー、ウォルドゲート 2011年 123」
この作品は上のシリーズ作品の一つです。
32枚のキャンバスに油彩で描いた作品を並べたもので、幅15mくらいあるのでは。
デザイン画のようであり、具象画のようでもあり、そこが彼の魅力です。
浮世絵のような遠近の表現方法にも惹かれます。
この辺がホックニーの魅力の本質のようです。
作品「ノルマンディの12ヶ月」2021-22年
フランス西海岸・ノルマンディーの12ヶ月を描いた、90mの長大絵巻です。
iPadで制作されたもので、デジタル映像として展示されています。
この作品は、11世紀に作られた70mの刺繍画「バイユーのタペストリー」をヒントにしたとされています。
ちなみに、その刺繍画には、ノルマンディーの歴史的な物語が表現されています。
ホックニーは日本や中国の「絵巻」にも影響を受けたと言われています。
ホックニーは、それらについて次のように語っています。
- 日本とか中国、東アジアの遠近法の方が一点透視図法よりも、現実をありのままに見ている様子に近い だから私はそれを採用したい
- 絵巻では、見ている人がその中に入り込んでいくような感覚になる
まず先に90m絵巻からピックアップした絵をあげておきます。
切り取った単品でも十分に良い作品ですので、お楽しみください。
それでは、90mの大絵巻をスライドでご覧ください。
最後に
デイヴィッド・ホックニーはいかがでしたか?
ホックニーはいまだに毎日プールで軽く泳いで健康を維持しながら、絵に向かっているそうです。
羨ましい人生です。
ところで、東京都現代美術館の展示物は、普段はインスタレーションやコラージュ作品、抽象画がメインかと思います。
なので、私の好みに今ひとつ合わなくて、当館を訪れる機会は少ないです。
今回は、デイビット・ホックニー展ということで、久しぶりに訪問しました。
またこんな展覧会を開催してもらいたいものです。
当館は最寄りの駅から遠くて、年寄りにはキツイですが!😆
こんな風に、これまでにいろんな画家や作品を紹介しています。
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