”油絵の始め方”と題して、これから油絵を始める方に向けて書きました。
「油絵を始めたい。だけど、必要なものがわからない。無駄にお金をかけたくない。」
そんな悩みをお持ちではないですか?
必要最低限だけど、上達するまで十分使える油絵の画材について解説します。
油絵を始める時に最低限必要なもの
このページでは、『これから油絵を始める方』に向けて解説しています。
時間がある時に下のページもご覧ください。
もう少し詳しく解説をしていますので、きっと参考にしてもらえるはずです。
油絵の具はこれ
メーカーは?
絵の具の日本メーカーではホルバインとクサカベの2社が有名です。
どちらも画材店に並んでいるはずです。
色数が多いですが、画材店に全てを置いているわけではありません。
なので、やむなく両社からピックアップして購入し、混色することもあろうかと思います。
それは問題ありませんので、ご安心を!
15 or 20ml入りのチューブで良いでしょう。
どの色を揃える?
色数が多いので、どれにするか悩みますね。
これらの色は基本的な色なので、揃えておいた方がいいです。
少し多いかもしれませんが、最初からこれくらいで初めてはいかがでしょう。
必ず必要になる色ばかりです。
(黄色・茶色系)
- カドミウムイエロー(不)
- イエローオーカー(半)
- バーントシェンナ(半)
(赤色系)
- カドミウムレッド(不)
- アリザリンクリムソン(透)
- キナクリドンマゼンダ(透)
(青色系)
- ウルトラマリン(透)
- コバルトブルー(半)
- コンポーズブルー(半)
(緑色系)
- フタロシアニングリーン(透)
- ザップグリーン(透)
- ビリジャン(透)
(白色系)
- シルバーホワイト(透)
- チタニウムホワイト(不)
(黒色系)
- ピーチブラック(半)
- アイボリーブラック(不)
絵の具には、透明・半透明・不透明の違いがあります。
かっこ書きは、それぞれの透明度を示しています。
絵の具の収納箱は?
私は、100円ショップで売っている透明なプラスティックケースを使っています。
高級なものよりも、こんなものが使いやすいです。
溶き油はこれ
溶き油の種類は?
油絵の具は水で薄めず、オイルで薄めます。
この溶き油は下描きの段階から仕上げの段階において少しづつ調合を変えるのが理想的です。
数種類の油を用いて、その配合割合を変えて使います。
しかし、最初はわかりにくいのでペインテイングオイルが良いです。
ペインテイングオイルは、下描きから仕上げまで使えるように調合されたオイルです。
ただ、下描きの段階ではペインテイングオイルとテレピンを半々に混ぜて使うと良いでしょう。
そのほうが乾燥が早く、絵の具がしっかりと支持体に染み込みます。
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溶き油の入れ物は?
使う時には、少しづつ角皿などに入れるか、蓋のついた広口の小瓶に分けて使うようにしましょう。
パレットに取り付けられる専用の油壺が売られていますが、不要です。
100均の皿や調味料の瓶などで十分ですし、その方が手入れが簡単です。
ただ放置すると揮発成分が飛ぶので、ラップしたり蓋がけしましょう。
揮発して濃くなると、テカテカの絵になりますので、ご注意を!
筆やナイフはこれ
筆は?
油絵の具はオイルで溶かすので、水で溶かす水彩絵の具やアクリル絵の具と違って、粘り気があります。
そのため、毛先の腰の強い筆が描きやすいです。
なお、毛先が茶色や黒で複雑な色合いの筆は、動物の毛などでできているので、やや高価です。
こういった筆は、腰が強いようです。
写真を説明します。左から順に
❶リセーブル筆:(中価格)
リセーブル筆は動物の毛と化学繊維を混ぜて作ったものです。
絵の具の含みがよくて、また腰が強く毛先が柔らかいので描きやすいですが、使用していくと毛先が広がりやすいようです。
このように毛先が広がってしまうと、精緻な絵には不向きです。
❷ナイロン:(低価格)
毛が硬いものが、腰が強く、油絵に向いています。
安いけど、毛先がばらつきにくく割に長持ちして使いやすいです。
フィルバートという形の、毛先が平らで丸くなっているタイプがお勧めです。
広い面と細い面を使えるので描きやすいです。
初めは0号から6号くらいを!
❸セーブル筆(コリンスキー):(高価格)
小さく、精緻な絵を描く人にはこれ。
イタチの毛だそうです。セーブルには他にも種類があります。
この筆は、やや高価ですが、腰があって、また長く使っても毛先がバラけないので、大変気に入っています。
私は最近、こればかり使っています。
❹ファン筆:
樹木の葉っぱを描くときに便利、硬軟1本ずつあれば理想的。
❺ハケ:
地塗り用に小型で柔らかめのハケを1本用意しましょう。
結論として、最初は、❷と❺があれば十分かと思います。画材店で買えるはずです。
慣れてきたり、精緻な絵を描きたい場合は、❶や❸、❹も検討してください。様子を見て、数本購入しましょう。
❸は一般の画材店にはないと思いますので、後述のオンランンにて。
慣れてきたときに、描きたい絵にあう筆を揃えてください。
筆は絵の出来具合に影響する大切な道具ですが、実は、筆が最も説明しづらいのです。
というのもどんな絵を描きたいのかによって違ってくるからです。
写真は、左から順に、リセーブル筆、ナイロン筆(白)、セーブル筆、ファン筆、ハケです。
まだ分かりにくいと思いますので、動画でもう少し詳しく説明したいと思います。
※「描き方動画」では、まだ3本目の投稿です。
ナイフは?
初めの頃はナイフを使って描くことは少ないでしょう。
ただ、絵の具の混色の際にナイフを使うことをお勧めします。その方が、きちんと混ざるからです。
また直線をひく時に、ナイフの側面を使うと上手く描けますし、パレット掃除用にも使えます。
ナイフは2本あると良いでしょう。もう1本で余った絵の具を削ぎ落とすこともできますしね。
大小のペインティングナイフが1本ずつあると、広い箇所、狭い箇所で使い分けることができます。
筆洗いグッズは?
まずティッシュなどで筆についた絵の具を拭います。
筆洗いにはブラッシュクリーナー(油彩用筆洗油)を使います。
高級な筆の場合は、テレピンをおすすめします。
蓋がついた広口の小瓶にクリーナーを入れておき、筆を洗っては蓋をすると匂いが飛びませんし、揮発するのも防げます。
しばらく使うと、だんだんと下に絵の具(固まらない)が溜まっていきます。
沈殿物が多くなった際には、上澄み液だけを別の瓶に取って再利用し、沈殿物を処分します。
クリーナーで洗った筆先にもまだ絵の具が残っていますので、必ず石鹸や洗剤をつけて水洗いします。
私は、写真のような大型のボウルを2つ用いて、片方で洗剤洗い、片方ですすぎをしています。
私は手のひらに台所用洗剤を出し、何度か筆を滑らせて洗います。
これをやっておくと筆をかなり長く使えます。
油絵の具は、特殊なものを混ぜない限りすぐには固まらないので、一日の終わりにこれをやってください。
描いている時に絵の具を落としたい場合にはテレピンなどの揮発油を使うと良いです。同様に蓋付きの小瓶に入れておきましょう。
パレットはこれ
指が入る高価な木製のパレットなど全く不要です。
あれを持つと、最初は画家の気分を味わえるかもしれませんが。🤗
私は、使い捨てのペーパーパレットとホームセンターで買ったアクリル版を使っています。
片付けが面倒な方はペーパーパレットだけをお使いください。
私の場合は、ペーパーパレットに絵の具を並べておき、アクリル版の上で混ぜています。
ペーパーパレットの絵の具はそのままでも2〜3日の間は乾かずに使えます。
ラップしておくともっと長く!
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キャンバスはこれ
キャンバスの材料
キャンバスは、麻布などをはった「張りキャンバス」と「木製パネル」があります。最初は、麻布の張りキャンバスで始めたら良いでしょう。
張りキャンバスには細目、中目、荒目がありますが、中目が一般的に売られていますので、中目で始めましょう。
ちなみに荒目は凹凸が大きくダイナミックな描写向き。細めは凹凸が小さく繊細な表現向きです。
下の写真は、張りキャンバス(左)と木製パネル(右)の背面です。
左は麻布の裏面、右は板の裏面が見えています。
なおキャンバスは油彩画用の額縁にそのまますっぽりと入るようになっています。
キャンバスの大きさと形
最初の頃は F8(455✖️380)やF10(530✖️455)くらいのサイズが、大きすぎず小さすぎずに良いでしょう。
大きいと時間がかかり飽きてきしますし、小さいと細かい描写が難しいです。
このくらいあると公募展にも出品できますしね。
油絵の具は乾きが遅いので、制作時間が取れる方は、2点同時に描いた方が良いと思います。
なお、キャンバスには形の違いで、F、P、M、Sの4種類あります。
PとMはFよりも細長く、Sは正方形です。
FとPが一般に流通しています。
横長や、縦長の絵を描きたい際にはPを使ってみてください。
地塗り
地塗りの材料
市販のキャンバスには白色の塗料が塗られていますので、そのまま絵の具を塗っても問題ありません。
ただ、地塗りと言ってキャンバスに下地を施すのが一般的なようです。
なぜなら、地塗りをすると油絵特有のマティエール(質感)が得られるからです。
また、繊細な絵を描く場合に地塗りすると、キャンバスの目が潰れて描きやすくなります。
地塗りの方法はいくつかありますが、初めは白色でチューブ入りのアクリルジェッソが良いでしょう。
ホルバインのアクリルジェッソには、粒子の荒さでS、M、L、LLの4種類あります。
だんだんと粒子が荒くなっていきます。
最初は標準的な粒子であるMを使いましょう。
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ジェッソの塗り方
それではジェッソをキャンバスに塗ります。
私は通常は3、4層塗りますが、目を完全に潰したい場合はそれ以上塗ります。
10層などという強者😂もいます。
一層ごとにヘアードライヤーなどで乾かせてから、上塗りしてください。
下層には原液をそのまま塗り、表層には水を混ぜてなめらかに塗ると良いでしょう。
3日ほど室内で乾かせてから、表面をサンドペーパー(400番)で軽く磨きます。
絶対に生乾きの状態で油絵の具を塗らないようにしてください。
その他、あったらいいもの
下書き用のグッズ
下書きとは絵の具で塗る前の鉛筆描きなどのことです。
下書きには鉛筆や木炭が使われます。
鉛筆は2Bや3Bくらいの柔らかめのものがよいです。
木炭の場合、絵の具を塗ると黒く濁るので、フィキサティフを吹いておきましょう。
イーゼルと腕鎮(わんちん)
イーゼルはキャンバスを立てかけて描くための道具です。
私はご覧のように100号にも使える大型のイーゼルを使っています。
これくらいあると、立って描くこともできます。この絵はF15号です。
初心者のうちは、これほど大きいものは必要ないでしょうが、折り畳み可能なチャチなイーゼルを買うと、描いている時に動いたり浮いたりして使い辛いです。
もし小型のイーゼルを揃える場合にも、こんなタイプのしっかりしたものを買いましょう。
小作品の間は机の上で描いてはいかがでしょうか。
ただし油絵ですと、乾きが遅いので絵の具が手に付きます。そこで腕鎮というものを使います。
私は、両側に本を重ね中央に絵をおき、このように木(幅3cm厚9mm)を渡して、腕鎮にして描いています。
これもホームセンターです。🤗
保存用のニス
完成して乾いたら、画面保護のためにタブロースペシャルを塗りましょう。
油絵独特の重厚感を保てます。
タブロースペシャルには、筆で塗るタイプとスプレータイプがあります。
絵を指で触って乾燥しているようなら塗っても大丈夫です。
価格:1,034円 |
オンラインショップについて
オンラインショップですといくらか送料がかかりますが、種類が多く、わりに安く買えます。
最近私が買いたいたいものは、ほとんど画材店には売っていないので、私はたいていオンラインショップで買っています。
地方ですとやむを得ません。
参考までに私が良く使うショップをご紹介します。
最後に
最後までお付き合いいただき、ありがとうございます。
これから始める方にきっとお役に立てると思います。
当分の間、これで描いていけるはずです。
画材にはいろんな種類がありますので、少しづつ単品で増やすようにしたら良いでしょう。
それも楽しいものです。
こんな風に油彩画について、他にも投稿しています。
是非とも、こちらを覗いてみてください。