”アクリル絵の具”はこんな画材!初心者へ画材一式の使い方まで

”アクリル絵の具”ってどんな画材かな?

アクリル画を描きたいけど、描きやすいかな?

と悩んでおられませんか?

最近、アクリル絵の具は緻密でクリアな絵を描きたい人に人気の画材で、

実は水彩絵の具と同じくらい使いやすい画材です。

アクリル画を始めませんか。

”アクリル絵の具”
画材一式とその使い方

まず、アクリル画はどんなものかご紹介し、その後、画材一式とその使い方について解説します。

アクリル画とは

アクリル画といえば、アンディウォーホルが有名ですね。

これまで、どちらかといえば、ポスターや印刷物のような平面的なイメージが先行してきました。

”アクリル絵の具”

最近では透明度の高い絵の具や様々なメディウムも開発されてきて、表現の幅が格段に広がっている画材であり、そのイメージが変わりつつあります。

下の絵は私は学んだ画家の黒沼大泰さんの作品です。アクリル絵の具で絵を描き、背景には金箔を使っています。小作品にも関わらず、驚くほど緻密で透明感のある絵です。

こんなリアルな絵を描くには、アクリル絵の具が向いています。最近では多くの方がアクリル絵の具でリアルな絵を描いています。

”アクリル絵の具”
画家の黒沼大泰さんの作品

絵画をたしなむ 画家・黒沼大泰

また、アクリル絵の具は乾燥が早く、緻密な絵でもスピーディーに描くことができます。そして劣化の心配が少なくて耐久性が高いため、長期保存にも耐えられるという優れものです。

アクリル絵の具は、もともとは絵の具としてではなく兵器の塗料として使われたようです。そのため、塗膜が頑丈なので屋外の壁画にも使われています。

私も、屋外展示のイベントに出品したことがあります。最初はペンキのような屋外用絵具「ネオカラー」(ターナー)を使っていたのですが、色数が少なくて困ったため、途中からはアクリル絵の具を使い出しました。

イベント開催まで日数があったので、1ケ月くらい直射日光に当てておいたり、水につけておいたりして劣化するか確認しました。当然、全く変化はなかったです。

このイベントは、香川県の昔話を作品(立体or平面)にして展示するもので、私は坂出市に伝わる「城山長者とくるま道」という話をモティーフにして制作しました。

屋外ということで、厚手のビニールテントのようなものに描きました。

”アクリル絵の具”
屋外展示も可能なアクリル画

”アクリル絵の具”について

“アクリル絵の具”の仕組み

絵の具は、一般に顔料と媒材(接着材の成分)でできています

  • 油絵の具    顔料 ➕ 乾性油
  • 水彩絵の具   顔料 ➕ アラビアゴム
  • アクリル画   顔料 ➕ アクリル樹脂

この煤材の性質がそれぞれの絵の具の特性に影響しています。

例えば、油絵の乾性油は固まるのが他の絵の具と比べると大変遅いです。

”アクリル絵の具”の特性

水性

アクリル絵の具は、水彩のように水に溶いて使います。

油絵の具のようにオイルで溶かすことはありません。

この点では水彩絵の具と同じですが、以降の特性は水彩画とは異なっています。

乾くと耐久性

アクリル絵の具と水彩絵の具の違いは乾燥後の耐水性にあります。

水彩絵の具は乾燥後でも水に溶けるため、塗った絵の具でも水で溶け出します。

だから仮に、水彩画の制作途中に絵の具が残った筆を置き忘れても、また丁寧に洗えば落ちます。

アクリル絵の具は固まると水に溶けないので、制作中にも筆の乾燥に気を遣う必要があります。

また絵の具が服などに付いて乾くと水では取れません。油絵で使うテレピンという液を布に含ませて擦るとかなり落とすことが出来るので、もしもの時には使ってみてください。

速乾性

これが、アクリル絵の具の最大の特徴と言えます。

他の絵の具よりもかなり乾きが早いので、塗ったら拭うことなどできません。

水彩絵の具は多少乾いても水で溶かしてぬぐえますし、油絵の具は乾きが遅いので拭き取れます。若干、色は残りますが、少しなら修正できるので助かります。

速乾性はアクリル絵の具のもう一つの欠点にも繋がっています。

例えば油絵の具の場合は、乾性油の乾燥がかなり遅いので、キャンバス上でグラデーションを作りやすいのです。一方、アクリル絵の具はすぐにベタっと固まってしまいます。そのため、アクリルでグラデーションを表現する時には、一手間必要になります。

ただ乾きが早いおかげで、油絵と比べると制作時間、日数を大幅に短縮できます。

これは大きなメリットです。

水を多めに混ぜて乾きが遅いときは、ドライヤーで乾かしても良いのです。

ドライヤーは、他の絵の具には使わないようにしてください。塗膜が割れたり、弱くなったりする恐れがあります。

塗膜の柔軟性

塗膜が頑丈で柔軟ということも大きなメリットです。

古い時代の油絵に細かいひび割れがあるのをご覧になったことはありませんか。

キャンバスや板は湿度や温度の変化で伸び縮みしますが、油絵の具の塗膜は板やキャンバスの動きに追随できていないので、あんな現象が起きてしまいがちです。

アクリル絵の具はその動きにも追随できるため、ひび割れの心配がありません。

”アクリル絵の具”の種類

アクリル絵の具には、透明度を持たせたアクリリック(ホルバイン社の名称、メーカーによって名称が違います)と不透明なガッシュがあります。

通常はアクリリックを使います。お好みでガッシュを加えても良いでしょう。

絵画の初心者であればアクリリックの12色セットなど、最低限の色を買っておき、好きな色をバラで追加していくと良いでしょう。水彩などで経験のある方はお好きな色をバランスよく揃えてください。

画材店に行くと様々な色がバラ売りされていますので、絵を描き進めながら、少しづつ絵に合わせて好みの色を買い足すのも楽しみなことです。

リキテックスプライム

私のように地方在住のものは画材店へ行っても、ホルバインかクサカベというメーカーの絵の具くらいしか手に入りません。

ということで、私は近所で購入できるもので済ませていました。

しかし、先ほどご紹介した画家の黒沼氏は、リキテックスプライムが良いと力説されています。

この絵の具は濡れている時と、乾いたあとの色の変化がほとんどなく、緻密な描写に向いています。

乾燥後の色の変化については、アクリル絵の具を使ったことのある方なら、皆さん経験されていることと思います。

また、この絵の具は、特殊なアクリル樹脂を使っているので、透明色の透明度が高いのです。

アクリル絵の具の透明色は、油絵の具ほどの透明度を持っていません。それは油絵の具に使われている乾性油の方がアクリル樹脂よりも光の透過性が優れているためです。

リキテックスプライムは他社製品と比べてやや割高ですが、驚くような値段の差はありませんので、よかったら使ってください。

「ゆめ画材」など、ネットで購入できます。

色んなアクリル絵の具の違いを説明してくれているページを見つけましたので、さらに詳しく知りたくなったら参考にしてください。

[アクリル絵の具] 15のメーカー商品それぞれ調べてみました。

”アクリル絵の具”の混ぜ方

絵の具は、パレット上でナイフで混ぜまるのが、オススメです。

筆で混ぜると混ざり切らないので、ナイフを使うと良いでしょう。ナイフ2本を使うようにし、1本で混ぜ、もう1本でこそぎ落とします。

筆で混ぜても良いですが、絵の具がマーブル状になったり、筆にダメージを与えることがあります。

”アクリル絵の具”の禁じ手

油絵の上には塗ってはいけません。乾燥後に剥がれおちます。

ただ水彩画の上には全く問題ありませんので、水彩画に補助的に使うのも面白いです。私は結構やっています。

というのも、水彩だけではなかなか力強い絵を描けないので、そんな時にはアクリルに頼ってしまいます。

メディウム
”アクリル絵の具”

アクリル用のメディウムはたくさんあります。添加剤みたいなものです。

硬くしたり、ざらつかせたり、透明感をあげたりと様々なものがあります。そんな中でも、とりあえず覚えておいた方が良いものをご紹介します。

大事な話ですので、別のページで詳しく取り上げます。

ジェルメディウム

透明感をあげるメディウムです。

ジェルメディウムで水の代わりに使うことで、透明度が高く、鮮やか過ぎない、程よい粘り気のある絵の具になります。

リターダー

アクリル絵の具の乾燥を少し遅らせてくれるものです。

アクリル絵の具にも数少ない弱点があります。

それはグラデーションを作りづらいことです。

リターダーを使うことで描いた部分の乾燥が遅くなるので、絵の具を重ねてグラデーションを作ることができます。

その他のメディウム

他にも、こんなものもあります。

  • 金属に描くことができるメタルプライマー
  • 布の上に直接描けるファブリックメディウム

少し慣れてきたら、いろんなメディウムを調べて、使ってみると良いでしょう。

当面は、ジェルメディウムとリターダーで十分です。

アクリル画の筆

割に安価なナイロン製の筆が良いです。

柔らかい筆です。水彩画用や日本画用でも良いです。

アクリル絵の具では良く洗っても、筆の根本に絵の具が残って毛先が広がってしまいまい、シャープな線が描けなくなってしまいます。これも欠点の一つです。

筆のタイプとしては、先が細長く尖った面相筆、丸筆、平筆などを使います。

水彩画のところで説明していますので、そちらも確認してください。

初心者の方へ”水彩画の画材と使い方”すぐに始められる

筆の洗い方

筆がダメになる原因は、なんといっても筆の根元に絵の具がたまり、毛先が広がってしまい、描きにくくなることです。

また、筆の毛に癖がついて毛先が曲がることもあります。

そんな筆でも荒く描くような箇所には何とか使えますが、細かいシャープな絵を描く場合には使えません。

まずバケツでしっかりと洗った後、さらに筆の根本を流水であらいます。そして、毛先を整えて乾燥します。大きな筆は毛先を下にして吊り下げておきます。

アクリル絵の具は、乾燥が早いので、制作途中にも十分に注意する必要があります。

これだけ手入れしても、筆の痛みは早いです。リーゾナブルな筆を揃えて早めに買い替えていきましょう。

何に描くの?

大型の作品の場合は、油絵のようなキャンバスに描きます。キャンバスの仕様に油彩・アクリル兼用などと表示されています。

小作品では、私は少し厚みのあるイラストレーションボードをおすすめしています。

ボードの厚さが1mm〜3mmくらいのもので

水彩紙でも問題ないのですが、個人的には水彩紙よりもイラストレーションボードの方がクリアな絵を描けるような気がしています。

"アクリル絵の具”
イラストレーションボードの例

イラストボード ケントボード A3サイズ 10枚入 厚さ1.5mm 両面 オリオンバロンケント紙 ケント紙 イラストレーションボード 高平滑 製図 マーカー 色鉛筆 AW-A3

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アクリルジェッソ

キャンバスにはジェッソを塗るのがオススメです。キャンバスの目を潰したい場合には3回ほど塗ります。最初の2層には原液を、3層目には少し薄めたものを塗ります。

表面を滑らかにしたい場合には、完全に乾いてから細目のサンドペーパー磨きます。

バケツ・水差し

筆洗い用と薄め用の水は必ず別にしてください。

薄めようの水は、小型の水差しを使って少しずつ都度必要な分だけ、パレットの絵の具に水をさすようにする方が理想的です。

筆洗いバケツは大きめにしましょう。

パレット

皿パレット

私は、日本画の様に、お皿をパレットにしています。100円ショップで買ったものを使っています。

私は大小何枚かの皿を使って描いています。皿の面積が小さいと色が混ざってしまうので、カレー皿くらいの大きさの皿も使います。

描き終わった後に、絵の具を乾かせてから皿を水につけると、絵の具がポロっと取れます。乾かないうちに水につけると絵の具が溶け出して水に色がつき、流しにながすのが気が引けるので、私はこんなふうにしています。

休憩の時などで放置するときは、皿にラップをかけるようにすると、乾燥までの時間を稼げます。

”アクリル絵の具”
パレット用の皿
紙パレット

紙パレットが便利です。描き終わったら、剥がして捨てるだけです。

パレットの手入れが不要です。

最後に

いかがでしたか。

アクリル画を始められそうですか。

お役にたてれば幸いです。

私の作品ものぞいていただくと嬉しいです。

”古都を描く”風景画作品集 京都・奈良の春秋を絵に

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