”油彩グリザイユ技法の着彩”のポイントと描き方を解説

油彩グリザイユ技法の着彩

”油彩グリザイユ技法の着彩”のポイントをご存知でしょうか。

「上手くモノクロに描けたけど、色をつけたら今ひとつ」なんてことを耳にします。

グリザイユ技法は、ポイントさえ知れば初心者でも上手に描ける技法です。

モノクロ編に続いて、今回は色の付け方を解説します。

グリザイユ技法で色をつける時の
ポイントと描き方

最近私は、この方法で絵を描いています。

だんだんと慣れてくると、本当に描きやすい技法だなと思えています。

グリザイユ技法は、印象派などの才能を前面に出す描き方とは違い、やや職人芸に近い描き方ですが、美大を出ていない私にとってはこんな描き方が合っているようです。

元はトンネル技術者でしたし。🤗

ここでは、私の描き方を解説しています。

違った描き方をする画家もおられますので、いろんな描き方を参考にして、早く上手になるよう願っています。

グリザイユ技法とはこんな描き方

グリザイユ技法とは、

モノクロで描き切ってから、着彩する(固有色を塗る)描き方

とされています。

では、描き切るとは、何?

それは、モノクロの段階で形だけでなく遠近感、立体感まで描き込むことです。

風景画の場合、できれば空気感まで出しておきたいですね。

だから、モノクロの段階で絵がほぼ出来上がっているとも言えます。

とは言え、着彩するとさらに絵が輝きだします。

その瞬間がなんとも言えない喜びです。

それでは、本題に入っていきます。

着彩のポイントと描き方

着彩のポイントとは

1.  モノクロの段階で遠近感や立体感を出しているので、それを損なわないように着彩します。

モノクロ段階で、遠近感や立体感を出していても、着彩の段階でそれを台無しにしてしまっては、せっかくの苦労が水の泡です。

例えば、下地を気にせずに不透明な絵の具をべたっと塗ったり、いきなり暗くしたりすると、下地が全く活かされません。

逆にいえば、モノクロの段階で遠近感や立体感が出ているので、後は色に集中すれば良いのです。

なので極端に言えば、着彩は塗り絵のような感覚です。

2. 下の色が生きるように、透明色や半透明色を塗り重ねます。

上記の意味からも、これが大事であることを理解していただけると思います。

透明色や半透明色を塗って、下地を活かした描き方をします。

さらにいうと、モノクロの段階では着彩段階のことも頭に入れながら描いておくべきということです。

すなわち、着彩しやすいように、モノクロで描いておくことが大事です。

詳しいことは、こちらをご覧ください。

グリザイユ技法のモノクロの描き方

モノクロの描き方については、
別のページで取り上げています。
このurlからご覧いただけますので、是非ともご確認ください。
グリザイユ技法のモノクロの描き方 なぜ先に、どう描く!

3. 何層か色を重ねるとで、自然で深みのある色合いを作ります。

オーソドックスな油彩画では、色を重ねて描くのが基本です。

そして、一気に濃くしないで徐々に暗く鮮やかにしていきます。

この時、「色を重ねるごとに乾燥させて、キャンバス上で色が混ざらないようにする」ことも大事です。

こうすると、色が濁らずに重なって、深みのある色合いになります。

焦らずに、全体のバランスを見ながら、ボチボチと重ねていきましょう。

ただし、あえてグラデーションを作りたい場合には、絵の具が固まらないうちに重ねます。

この絵を描きます

栗林公園の梅の景色です。

背景の紫雲山が魅力の公園です。

油彩グリザイユ技法の着彩
完成作品

どんな順に描くのか

0.モノクロについて

今回は背景の山をバイオレットを使ってモノクロを表現しています。

遠い山を描くときには紫を使うことがありますので、茶色系を使うよりも空気感を出せたかなと思います。

1.太い枝→木々の幹や枝を描く

通常、絵画は遠景から描いていきますが、今回は前方の太い枝から描いていきます。

最も濃い太い枝を先に塗って、これを明暗の基準にしました。

同様に、林立する梅の木の幹や枝を描きました。

色は、ザップグリーンをメインにして、暗い部分にはバイオレットを使いました。

茶色系でモノクロにしているので、ここではもう茶色系は使いません。

木々に潜んでいる色や感じる色を重ねていきましょう。

油彩グリザイユ技法の着彩 油彩グリザイユ技法の着彩

2.背後の山を塗る

次に、背後の山や梅の花の背後を塗ります。

使う色は、先ほどとほぼ同じですが、葉っぱの濃い部分にはウルトラマリンを塗りました。

遠景なので、絵の具に溶き油をやや多めに混ぜて、薄めたものを塗りました。

太い枝の明暗を基準にしてバランスが取れるようにしました。

花の周辺は花の形をよく見ながら塗りましょう。

油彩グリザイユ技法の着彩 油彩グリザイユ技法の着彩

3.前方の紅い梅の花を塗る

太い枝の梅の花は最も目を惹きたい場所です。

なので、少し工夫して塗ります。

色は、Lusar-Magentaを使いました。これに、フレッシュメディウムを加えています。

このメディウムは、絵の具に「輝きのある光沢と軽いインパスト(盛り上げ)」効果を与えてくれます。

べったりと紅く塗るのでなく、下地の白を残しインパストを活かして塗ると、自然に見えます。

油彩グリザイユ技法の着彩 油彩グリザイユ技法の着彩

4.手前の白い花を塗る

手前の白い花もこの絵のポイントなので、これには絵の具にテンペラホワイトを使いました。

これにも先ほどのフレッシュメディウムを混ぜています。

これで、前方の紅い花と白い花が強調されました。

テンペラホワイトとは

テンペラホワイトについては、
別のページで取り上げています。
このurlからご覧いただけますので、是非ともご確認ください。
テンペラと油彩の混合技法ー画材と描き方を徹底解説

 

5.二層目、三層目を塗る

ここまでで大まかに一層目が塗れました。

これから全体に二層目、三層目と塗り、完成へと近づけていきます。

全体が見えてきたので、バランスの取れていないところ、弱いところに色を重ねていきます。

少しずつ、暗く、鮮やかに!

右の絵では、地面に下地としてペインズグレイを塗っています。

油彩グリザイユ技法の着彩 油彩グリザイユ技法の着彩

6.細かい部分に手を加える

空をコンポーズブルーとシルバーホワイトで描きました。

太い枝の上面にチタニウムホワイトでハイライトを入れました。

こんな感じで、だんだんと細かい部分に手を加えて、完成度を高めていきます。

ただし、主題は前方の梅なので、遠景の部分にはあまり細かく手を入れずにおきましょう。

油彩グリザイユ技法の着彩 油彩グリザイユ技法の着彩

7.中間部分の花を整える

だんだんと完成度が増してきました。

中間部分の花の形をさらに修正していきます。

ファン筆を横に向けて描くと細かい表情が作れます。

8.地面に散らばった花びらを描く

最後に、地面に散らばった梅の花びらを描きます。

ファン筆の端っこで描くと小さい表現ができます。

チタニウムホワイトを散らばし、乾いてから、その上に赤や茶色を散らばします。

そうすると、色が鮮やかに見えます。

黒い上に色をつけても目立たないので、そんなふうに描きます。

 

Youtubeにも投稿

Youtubeでも取り上げています。

動画とホームページの両方を見てもらえば、理解しやすいと思いますので、是非とも動画もご覧ください。

最後に

最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

いかがでしたか?

興味あるようでしたら、グリザイユ技法を是非とも試してください。

きっと気に入ってもらえると思います。

他にもこんな風に「油絵の画材と描き方」ついて取り上げています。

こちらから確認してください。

油絵の画材と描き方

また、いろんなカテゴリーのページがありますので、ホーム画面にもお立ち寄りください。

 

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グランFgranf1765
第二の人生に入り、軽い仕事をしながら、風景画を描いて過ごしています。現役の時に絵画を始めてから早10年以上になります。シニアや予備軍の方々に絵画の楽しみを知っていただき、人生の楽しみを共有できればとブログを始めました。