”透明水彩で花を描く”ポイントを初心者向けに解説します

”透明水彩で花を描く”ことはありますか?

花がとても綺麗なので、初心者ではなかなか実物に敵いません。

そんな悩みをお持ちではありませんか?

ここでは「ひまわり」と「バラ」を主題にして花の描き方を解説しています。

あなたも、きっと素敵な水彩画を描けますよ。

“透明水彩で花を描く”ポイントとは!

以前のページでもご紹介しましたが、水彩画の基本は次のとおりです。

これは、花を描く時も同じですので、おさらいをします。

水彩画の基本とは!

① 白地を生かす

水彩画では基本的に白は下地の白を利用します。

基本的に白い不透明な絵の具を使うことは、ほとんどありません。

また、制作を始める前の紙が最も明るい状態で、制作が進むと画面はどんどん暗く鮮やかになっていきます。

② 徐々に暗く、徐々に鮮やかにしていく

最初は多めの水で溶いて、明るく鈍めに描き進め、細やかな色の変化で立体感を出してから、暗く、鮮やかに仕上げるのが基本です。

なぜなら、透明水彩は下地の色が残ってしまうため、いきなり濃い色を塗ると塗りなおしができません。

また、立体感と鮮やかさを同時に追求するのは難しいことなので、まずは明るめ鈍めに描いて立体感を出していきます。

それから暗く鮮やかな色を重ねて仕上げていきます。

やや白っぽく鈍い色に原色に近い色を重ねると一気に鮮やかになりますので、焦らずに徐々に描きましょう。

③重ねて塗る場合は、乾燥を確認してから優しく塗る。

まだ乾かないうちに塗り重ねて滲みやぼかしの表現をする時以外、乾燥の確認は大切です。
そうしないと色が混ざって濁ってしまいます。

乾燥を確認しながら、柔らかい筆で優しく塗り重ねてください。

④ 鉛筆の下書きには、手を抜かない

透明水彩では鉛筆線が残った方が絵に良い効果を与えることがあります。

また、意図に反して透明水彩では鉛筆線が透けて見えることもあります。

なので、水彩画を描く場合には、下書きの線には手を抜かないように!

線が残ると邪魔な箇所は、練りゴムで鉛筆線を叩いてできるだけ薄くしておきます。

⑤用紙の水張りをする

水彩画を描くときは、水彩紙を使用し、また、水張りをしておきましょう。

水彩画らしい滲みやぼかしを表現する時に水張りをしていないと紙がベコベコになります。

だから、水張りは不可欠です。

こんな色を使います

これから使用する色はそれほど特殊な色ではありませんが、水彩画をやるのに大事な色ですので、お手持ちの絵の具セットに入っているか確認しておいてください。

また、どの色がどんな色味を持っているのか認識しておくことが大事ですので、少しずつ塗ってみて違いを把握しておくと良いです。

例えば、同じ青でもプルシャンブルーは赤紫色ぽく、コンポーズブルーはやや緑っぽいです。

”透明水彩で花を描く”時のポイント

①パーマネントイエローレモン
②パーマネントイエローディープ
③イエロオーカー
④バーントシェンナ
⑤バーミリオン
⑥ローズマダー
⑦ミネラルバイオレット
⑧プルシャンブルー
⑨コバルトブルー
⑩コンポーズブルー
11ビリジャン
12パーマネントグリーンNO.2
13パーマネントグリーンNO.1

透明水彩でひまわりを描く

私の作品を例にして透明水彩絵の具で花の細かい形と色幅を出すやり方を説明します。

この「ひまわり」と次の「バラ」は画家の黒沼大泰さんの教室で教わって描いた水彩画です。

大変良い参考例だと思いましたので、使わせてもらいました。🙏

”透明水彩で花を描く”時のポイント
作品例「ひまわり」

この絵の制作のポイント

徐々に暗く、徐々に鮮やかに描く

水彩画の基本②に従って、最初は明るく、鈍めに白っぽく描き、細やかな色の変化で立体感を出してから、暗く、鮮やかに仕上げます。

徐々に暗く、徐々に鮮やかにです。

まず、花全体を水多めの黄色で、また葉を同様の黄緑色でざっと全体に下塗りします。

この時、ハイライト(白)の部分は塗り残します。

立体感を持たせる

花、茎と葉、種の中間ゾーンにやや鮮やかな色を塗り重ねます。

同様に暗いゾーンにやや暗い色を塗り重ねて色幅を増やします。

種の部分は暗いですが、いきなり濃く、暗くすると、さらに暗い部分を描けなくなるので抑え気味にします。

この段階では、いきなり細かく描くのではなく、大まかにあたりを取ることが大切です。
これで、全体に色幅が増えて立体感が出てきます。

ここまでは、水多めにして描きます。

少しずつ情報量を増やす

茎と葉、種のさらに暗い部分を細かく塗り分け、情報量を増やしていきます。

この時には色がどんな色味を持っているか確認・意識して描き進めます。

なお葉の暗い部分を青っぽく描くと自然に見えます。

塗りムラがないように空を塗る

空を塗ります。

これも最初は水多めで溶かして鈍く塗り、他の色味と合うように再度鮮やかな色を塗ると良いでしょう。

塗りむらができないように、筆には水をあまりつけないで塗り、水溜りができたらすぐに塗り広げましょう。

ウォッシュして一体感を

花や葉の色の境界線付近を溶かして一体感を持たせます。(ウオッシュ)

仕上げ

花と葉の明るいゾーンにやや鮮やかな色を重ねます。

最後に、種の最も暗いゾーンをさらに細かく描写します。

暗い部分に情報量が多くなるようにするのがミソです。

上の写真ではわかり辛いですが、「種が光を反射している様」を表現するために、カッターの先端で種の部分を細かく削って白を出しています。

使った色は次の通り

ひまわりに使った色

ざっとどんな色を使って描いたのか確認してください。それぞれ、2、3種類の色を混ぜています

  • 下塗り 水多め
    パーマネントイエローレモン、パーマネントグリーンNO1
  • 中間色 やや水多め
    :パーマネントイエローレモン、パーマネントグリーンNO1
    :パーマネントイエローレモン、パーマネントグリーンNO1、ビリジャン
    :パーマネントイエローディープ、イエローオーカー
  • 暗い部分 水やや少なめ
    :パーマネントイエローレモン、イエローオーカー、バーントシェンナ、パーマネントグリーンNO1
    :パーマネントイエローレモン、パーマネントグリーンNO1、アイボリーブラック少々
    :イエローオーカー、バーントシェンナ、アイボリーブラック少々
  • さらに暗い部分 水少なめ
    :パーマネントグリーンNO1、コンポーズブルー、アイボリーブラック少々
    :パーマネントイエローディープ、イエローオーカー、アイボリーブラック少々
  • 明るい部分に塗り重ねて鮮やかに
    :パーマネントイエローレモン → パーマネントイエローディープ
    :パーマネントイエローレモン、パーマネントグリーンNO1
  • 中間色に塗り重ねて鮮やかに
    :パーマネントイエローディープ、バーミリオン
  • 最後に暗い部分を細かく描く
    :バーントシェンナ、アイボリーブラック少々

空に使った色

コンポーズブルーを水多めで下塗りし、やや濃いめのコンポーズブルーで仕上げました。

透明水彩でバラを描く

次は、ピンボケや光の表現、主題のバラの色を強調する色彩表現について説明します。

このように背景がピンボケしたモティーフは水彩画の練習に最適です。

”透明水彩で花を描く”時のポイント
作品例「赤いバラ」

この絵の制作ポイント

この絵を描く時のポイントは、次の3つです。

  • 透過する光の表現
  • 背景のピンボケ処理
  • モティーフの色を強調する色彩演出

モティーフの色を強調する色彩演出について

この絵は背景の部分が緑系でまとまっていて主役のバラは赤系でまとまっています。

緑色の上に補色の赤がのっています。

この組み合わせで絵を描く時には明暗のコントラストを強く意識して描くことが重要です

と言うのも、色相の上で赤も緑も中間の明るさの色なので、明暗を意識しないとコントラストの弱いグレーっぽい絵になってしまうからです。

明暗のコントラストをつける時には、明るい部分ほど黄色っぽく、暗い部分ほど青っぽくすることが大事です。

こんな風に描き進めました

1.花と茎と背景のベースを塗りわける

水彩画の基本は徐々に暗く、徐々に鮮やかにですので、初めは多めの水で溶かしてやや明るめ、やや鈍めに塗ります。

まず初めは主役のバラの部分に、ローズマダーを薄く解いてベースの色を塗っていきます。

この時、真っ白なハイライトの部分を避けて塗ります。

いきなり鮮やかな色を塗ると立体感や空間の演出が難しくなるので、初めは水がたくさん混ざった薄い絵の具を塗ります。

茎の部分には、パーマネントイエローレモンとパーマネントグリーンNO.1を混ぜて塗りました。

次に背景部分のベースの色を塗ります。茎の部分と同じ色でさらに薄めて塗りました。

茎と背景も花と同様にハイライトを避けてベースの色を塗っていきます。

2.徐々に暗く、徐々に鮮やかに

まず背景から

背景のやや鮮やかな部分に先ほどよりも鮮やかな黄緑を塗ります。 

背景をハイライトの白、ベースの黄緑、やや鮮やかな黄緑の3色で塗り分けるイメージです。

ここまでで背景の明るい部分に色幅ができたので、今度は背景の暗い部分を塗ります。

背景の暗い部分を観察して青みの緑で暗い形を刻んでいきます。

明るい部分を黄色っぽく、暗い部分を青っぽく描くと自然な光を表現できます。

背景の影をさらに細かく見て、濃い青みをつけていきます。

バラの花

バラの鮮やかな色に移ります

鮮やかな色を塗るときはモティーフの形に沿って影の形を塗ります。

バラの影の形を観察し、形をしっかりと刻みながら暗い色を塗っていきます。

普通は、暗い部分は青みがかった色で表現するものですが、バラやツバキのように鮮やかで半透明なモティーフでは、暗い部分に真っ赤、中間の明るさの箇所を赤紫で表現します。

普通は逆ですが、このようなケースではやや明るい部分が紫っぽい赤になり、暗い部分がオレンジぽい赤になります。

これをやると半透明なものを透過する光を表現できます。

バラの細かい部分をひたすら観察して塗っていきます。

なお、重要な工程では、別の紙に塗って色を確認してから描きましょう。

ポイントは明暗の境界線付近の細かい表情を細かい筆のタッチで表現することです。

3.さらに鮮やかに

背景

ここからは、背景部分の色幅をさらに増やしていきます。

ここまでで、背景に大まかに5色が塗られていますが、ここからは半透明な色を重ねていき細かい色の変化を作ります。

背景部分の色の変化を観察し、あまり水を混ぜずに鮮やかな色を塗り重ねます。

この時のポイントは、意識的にピンボケ状態を作っていくことです。

主役の部分にピントを合わせ、背景の部分は色の境界線をぼんやりさせてピンボケ状態にします。

背景とのバランスを見ながらバラの暗い部分を、さらに鮮やかにしていきます。

この段階になるとあまり水を混ぜないで、画面をどんどん鮮やかにしていきます。

4.ウォッシュしてピンボケを

背景の暗い部分を水で洗っていきます

柔らかい筆に水を多めに含ませて背景を撫でていくと、少しだけ色が明るくなり、ここまで塗った色が溶けて混ざり合って、水彩画らしいにじみを生かしたピンボケ表現ができます。

特に、背景部分で色のぶつかりが強すぎるところをどんどんぼかします。

この時、こまめに筆を洗って画面が濁らないように注意しましょう。

このようにあらかじめ色幅を持たせて画面上に形を刻んでから洗って滲みを作ると、にじみの出方をある程度コントロールできます。

最後に、色の明るさと鮮やかさ、ピントの状態を微調整・確認します。

使った色は次の通り

花に使った色

下地にはローズマダーを使いました、そして、ローズマダーにバーミリオンやミネラルバイオレットを混ぜて明暗を描き分けて、バーミリオンで仕上げました。

茎に使った色

下地にはパーマネントイエローレモン+パーマネントグリーンNO.1を使用し、この色を濃くして仕上げました。

背景に使った色

下地にはパーマネントイエローレモン+パーマネントグリーンNO.1を使用しました。

そして、コンポーズブルー、ビリジャン、コバルトブルー、アイボリーブラック(少々)を使い分けて、影の部分を描きました。

明るい部分はパーマネントイエローレモン+パーマネントグリーンNO.1を濃くして仕上げました。

最後に

最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

文章だけでは分かりにくかったかと思いますが、ご容赦ください。

透明水彩絵の具は、基本をマスターすると、容易にさまざまなタッチや表情を出すことができます。

このページの他にも水彩画の画材や描き方の解説をしていますので、下のページにもお立ち寄りください。

水彩画の画材と描き方

youtubeで花の風景も

水彩画のモティーフにお困りではありませんか。

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