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油彩で花と街の風景を描いています

”アクリル画の正しい描き方” 鮮やかに立体的に描くにはこれ!

”アクリル画の正しい描き方”をご存知ですか?

アクリル絵の具は水で溶かす絵の具ですので、水彩のように描くのだろうと思っていませんか?

しかし、それではアクリル絵の具の特性を生かした、あの鮮明な絵にはなりません。

アクリル絵の具で描くポイントを解説します。

”アクリル画の正しい描き方”とは!

実は私もしばらくの間、水彩のイメージで描いていました。

ある時、通っていた絵画教室の先生の勧めで水彩画からアクリル画に変えたのですが、その教室ではアクリル画の技法については全く教えてもらえなかったので、水彩画の知識で絵を描いていました。

絵画教室はたいていそんなものかもしれませんが。

そのうち、自分で公募展に出品するようになった時、絵に鮮やかさや立体感が足りないことに気がつきました。

大きな会場に展示され、他の絵と比べると、自分の絵の欠点がよく見えますね。

悩んでいたある時、デッサン、水彩画、アクリル画、油絵の技法について、オンラインで一挙に学べることを知り、そこで本当に一から勉強し直しました。

その時初めて、アクリル画を水彩画と同じように描いていては「鮮やかで、立体的な絵を描く」ことはできないんだと知りました。

初心者の方には参考になることがあると思いますので、その一端をご紹介させていただきます。

水彩画的な描き方の
ダメな理由

水彩画的な描き方がダメな理由は、水彩絵の具とアクリル絵の具の特性の違いにあります。

そのため、絵の具の特性に合った描き方をする必要があります

アクリル絵の具は速乾性で
固まると溶けない

水彩絵の具は画面上で一旦乾いても、再度、水で溶かすことができます。

例えば、絵の具が一旦乾いた後でも絵の具を水のついた筆でぼかすことができます。

空の青をぼかして、雲のボヤケを表現する時などに使われます。

アクリル絵の具は乾くと絶対に溶けませんので、こんなことはできません。

次に乾燥速度ですが、
水彩絵の具は水を多めに使いますし、乾いても溶けるので乾燥時間に対してそれほど意識しないです。

一方、アクリル絵の具はすぐにベタっと固まってしまいます。

そして、この特性による最大の欠点が、グラデーションを作りづらいということです。

水彩では大量の水を使ってグラデーションを表現します。

アクリル絵の具でも同様にできるのですが、これをやるとアクリル絵の具の持っている鮮やかさが完全に失われます。

アクリル絵の具を薄く溶いた場合でも、描いている間は鮮明な色をしていますが、完全に乾いた翌日には無残な姿になっています。

アクリル絵の具を使う以上は、鮮明さを活かしたいものです。

アクリル絵の具の特性については、こちらをご覧ください。

アクリル絵の具はこんな画材!初心者へ画材一式と使い方

アクリル絵の具で
鮮やかで立体的な絵を描くには

それでは、アクリル絵の具の特性に合った使い方、描き方とはどんなものなのでしょうか。

絵の具の色相環上の位置と
透明、不透明を知る

これは全ての絵の具に共通することですが、絵の具を使う時には、『色の色相環上の位置』と、『透明、不透明を知っておく』ことが大切です。

絵を習う時に、先生が通常使っている絵の具で説明してくれました。

先生はこの14色で全ての絵を描いていると話していました。

1. イエローミデアムアゾ(半)

2. トランスペアレントバーントシェンナ(透)

3. ナフソールレッドライト(半)

4. ペリレーンレッド(透)

5. キナクリドンバイオレッド(透)

6. ディオキサイジンパープル(透)

7. ウルトラマリン(透)

8. フタロブルー(透)

9. セルリアンブルー(不)

10. フタログリーン(透)

11. フォーカスグリーン(透)

12. パーマネントザップグリーン(透)

13. チタニウムホワイト(不)

14. アイボリーブラック(不)

1〜14の色を、色相環に乗せると下のようになります。

”アクリル画の正しい描き方”
色相環と色配置

色彩の基本通りに絵を描くにはどの絵の具がどんな色味を持っているか正確に知っておく必要があります。

すなわち、色相環の上でどこに位置するのか、さらに透明、半透明、不透明を知っておくことが不可欠です。

今、自分が作っている色が色相環の上でどこにあるのかを意識すると思い通りの色に近づけることができます。

例えば、同じ青でもいろんな色味があり、透明度も違っています。

  • ⑧フタロブルーは、透明でやや緑よりの青
  • ⑨セルリアンブルーは、不透明でやや緑に近い青
  • ⑦ウルトラマリンは、透明でやや紫色の青

これは、一つの例であって、詳しくは次のページで解説していますので、是非ともご確認ください。

色相・明度・彩度を使いこなして、立体的で鮮やかな絵を!

アクリル絵の具の
基本的な描き進め方

下塗りから順に説明します。

インプリマトゥーラ
(下塗り)

下塗りに使うのは、描く絵の明るさの中間色です。

下書きの線が見えるように半透明な絵の具を薄めに塗ります。

一般に黄土色が使われますが、画題の色味にしても良いでしょう。

後に載せる作品例では全て次のものを混ぜて塗りました。

  • イエローミデアムアゾ 
  • トランスペアレントバーントシェンナ
  • ジェルメディウム(後述)と少量の水
アクリル絵の具で
絵を描く

アクリル画の基本的な描き方は次の通りです。

  1. 明るめ鈍めに、まず色彩よりも立体感重視で描く
  2. 固有色(透明色、半透明色)を重ねて暗く鮮やかに仕上げる

①は不透明な絵の具を用いて、まず立体感を得るというものです。

というのは、人は鮮やかさと立体感を同時に表現することが苦手だからです。

だから①のプロセスで、まず明暗や立体感を不透明な絵の具で出しておきます。

場合によっては、明るめ、鈍め(白っぽい)、不透明にするため、彩度が”0″であるチタニウムホワイト(不透明)やシルバーホワイト(半透明)を少し混ぜます。この段階で固有色を使っても良いですが、あくまでも鈍めに。

遠方の部分にはシルバーホワイトを、ハイライトの部分はチタニウムホワイトを使うといいでしょう。

ポイントは、透明な絵の具が重なった時にちょうど良いようにやや明るめ、やや鈍めに描いておくことです。

そうすると②で、透明、半透明の鮮やかな固有色を塗り重ねて鮮やかに仕上げることができます。

固有色を塗る時に使うのがジェルメディウムです。

アクリル用のメディウムはたくさんあります。添加剤みたいなものです。

ジェルメディウム

透明感をあげるメディウムです。

これは大変重要な材料です。

ジェルメディウムはアクリル画の一つの欠点を解消してくれます。

先程の描き方の項では、不透明な絵の具で明るく、鈍く立体的に描いて行きました。

そしてある程度描き進んだ後、鮮やかな半透明〜透明な固有色を上に重ねて仕上げました。

ただ不用意に鮮やかなアクリル絵の具を重ねると、せっかく良い感じで立体感・一体感を出せていたものが、アクリル絵の具の発色がきつすぎて一体感がなくなってしまうのです。

と言って、水を多く混ぜて絵の具を薄めてつかうわけにはいきません。

私はこれで最初は失敗を重ねていました。

この問題をジェルメディウムが解決してくれます。

水の代わりにジェルメディウムを混ぜて薄めるのですが、そうすると透明度が高いままで、鮮やか過ぎないが、程よい粘り気のある絵の具を作れるのです。(メディウムの量は商品説明を参考にしてください)

もちろん乾燥後のぼやけもありません。

いきなり鮮やかにせず、ジェルメディウムを使って薄めの色から徐々に鮮やかな色にして薄く重ねると、立体感を残したままで、鮮やかな絵になります。

この使い方をマスターすると、鮮やかで立体感のある絵を描けるようにになりますので、是非ともお試しください。

ただ、速乾性ですので筆洗いをこまめに!

私ももっと早く知りたかった。😂

ジェルメディウム

リターダー

このメディウムも役に立つので、覚えておいてください。

アクリル絵の具の数少ない弱点は、グラデーションを作りづらいことです。これは絵を描く上ではかなりのハンデになります。

例えば、子供の顔の頬の色は中央が紅くて広がるにつれて薄いピンクなっています。これをアクリル絵の具で描くと、紅〜薄いピンクの間で色の段差が目立ち、綺麗なグラデーションになりません。

やはりアクリル絵の具を多めの水で溶かすことはできません。また細かく変化をつけるのも手間ですし、難しいです。

アクリル絵の具のグラデーションの弱点は、油絵の具になれていると余計に感じることです。

油絵ならすぐに固まらないので、キャンバスの上で絵の具を混ぜてグラデーションを簡単に作れます。

絵を描こうとすると、目にするものはこんなグラデーションばかりです。

そこでリターダーの出番です。

アクリル絵の具の乾燥を少し遅らせてくれるものです。

絵の具にリターダー液を少量混ぜて使うこともでますし、溶き水に調合しておき、それを絵の具に混ぜて使うこともできます。

溶き水は「ごくわずかのリターダー+大量の水」で調合します。これをスプレーに入れれておき、パレット上で絵の具を溶くのに使います。

絵に直接吹きかけて、画面上で絵の具を混ぜながら描くこともできます。

定期的にパレットに吹きかけるとパレットの絵の具が固まるのも防げます。

リターダーを使った場合には、通常、数十分で乾燥します。

添加量の加減については、メーカーによって若干の違いがあるので、カタログを確認し、試しながら使ってください。

教室で教わって
描いた作品

私は風景画を描いていますので、こういったモティーフを使うことはないのですが、勉強のために描きました。

今ひとつでしょうが、個人的には鮮やかな絵を描けてびっくりしました。

参考になろうかと思い載せておきます。

普段は油絵を描いていますので、最近はあまりアクリル画を描いていないのが残念です。

アクリル画に合うモティーフがあったら、描いてみたいです。

重色を学ぶ

主題と背景が反対色のケースですので、主題が浮き上がって見えますね。

”アクリル画の正しい描き方”
重色を学ぶ

炎の描き方を学ぶ

主題と背景の色が隣り合っているケースですので、一体感を感じますね。

”アクリル画の正しい描き方”
炎の描き方を学ぶ

カラフルな物の描き方を学ぶ

様々な色味があると複雑になります。風景画はこれに近いです。

”アクリル画の正しい描き方”
カラフルな描き方を学ぶ

最後に

最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

お役に立てたでしょうか。

初心者の方には難しいこともあったかもしれませんが、少しでも使えるものがありましたら幸いです。

アクリル画以外にも、いろんな画材を取り上げていますので、覗いてみてください。

絵画の画材と使い方ー絵画で生き生き