”初めての個展の準備”
どのようにすれば良いかご存じですか?
『個展を開いて誰かが自分の絵を買ってくれる』
画家冥利に尽きることです。
しかしそれには、周到な準備が必要です。
個展について、プロから学んだこと、自分の経験で分かったことなどをご紹介します。
個展の準備を詳しく解説
私は現在、初個展の準備中です。
私は、これまでにグループ展に何回か参加したことがありますが、個展は初めてです。
なので、経験豊富なプロにやり方を一つ一つ教わって周到に開催準備を進めています。
無名の画家が開催する個展!
いきなり成功を収めるのは、まず無理でしょう。
しかし、少しでも手応えを得て次に繋げていきたいものです。
今回は、個展開催までの準備編をまとめています。
個展の成否は準備でほぼ決まるとも言われています。
これから個展を開催される方の参考になれば幸いです。
『額縁の選び方』、『キャプションの添付』、『作品の飾り付け方』、そして『開催後の状況』なども、おいおい他のページでご紹介していきます。
どうなったら個展を開催できるのか
「自分は美大を出ていないし、まだ絵が下手なので、個展なんてとんでもない」
そんな風に考えていませんか?
SNSで上手な作品を見かけると、余計にそう思いますよね。
私もそうでした。
なので、経験豊富な画家さんたちに「どの段階になった時に個展を始めたのですか?」と、質問を投げかけたことがあります。
- 自分の絵に自信を持てた時ですか?
- 著名な公募展で受賞するようになった時ですか?
- SNSやホームページでファンができた時ですか?
彼らの答えはどれもNOでした。
逆に、
「知り合いの画家さんなんか、まだ未熟な作品でも個展を開いて成功し、近年では海外にまで進出していますよ」と励まされました。
それに、
「『自分の絵に自信がない』、『個展を開くなんてまだ早い』と思って一人悩んでいても、何も始まらない、何も変わらないですよ」とも。
さらに、
「絵を見た画廊や百貨店などから、突然『あなたの個展を開きたい』なんてシンデラストーリーは、普通あり得ない。自分が動くしかないですよ。」と!
少し話が外れますが、実は私にもたまにこんなメールが来ます。
『あなたの絵は素晴らしい、パリで展示したい』!
一瞬喜びましたが、冷静になってNETで調べてみたところ、やはり詐欺まがいでした。
これは後で高額な出品料を請求する類のものです。😭
当然、無視して削除しました。
話を戻します。
先ほどの画家さんが、追加してアドバイスをくれました。
「福家さんは、もう個展をやるべきです。もし望んだ成果が得られずとも、たくさんの新たな気づきがあり、次につながる出会いが生まれるはずです。」
失敗を過度に恐れずに、必要な作品が揃ったらチャレンジしてみましょう。
仲間とのグループ展でもOK
最初は、いきなり個展でなく、仲間とのグループ展でもいいですね。
こんなメリットがあります。
- 会場、チラシやポスターなどの費用を折半できます。
- 準備・片付けを手分けできますし、会期中の在廊を分担できます。
- 多くの作品を用意できなくても開催できます。
- 他の作家の『額縁』や『売れた作品』などの情報は、次回に活かせます。
- 仲間と密な情報交換ができます。
ただグループ展を開催する時は、次のことに注意してください。
- 参加人数は2、3人が望ましいです。人数が多いと個人の出品数がかなり絞られますし、目移りしてじっくり観てもらえません。
- 同じモティーフor技法の画家さんでない方が良いでしょう。モティーフが変わると飽きがきませんし、何よりも画家同士で競合せずにすみます。
- 会場内の展示場所について、わがままは禁物ですが、できれば目につきやすい場所(例えば、入り口付近)が望ましいです。期間が長い場合は時々位置変えしても良いです。
会場探し
個展ができる会場は次のような場所があります。
- 百貨店の催事場
- 企画展示画廊(画廊主導で企画・販売している)
- 貸し画廊
- ギャラリー付きのカフェやレストラン
- 地元の公民館など
まず百貨店や企画展示画廊ですが、
こちらは初心者にはハードルが高いですね。一定の実績をあげてからになるでしょう。
というのも店側としては、絵が売れないと困るからです。
このようなお店の場合は、普通『お店は画家から出品料を取らずに、売れた絵の値段から一定の割合を取る』という仕組み(かなりの割合)だからです。
なので、お店側は飾る画家の活動実績などを慎重に見定め、採否を判断します。
その代わり、優良なお店はたくさんの顧客リストを持っておられます。
そういったお店で個展を開けると、当然、絵を買ってもらえる可能性が高いわけです。
一方、貸し画廊は、お金さえ払えば誰でもやれます。
ただし、会場費が高額になる場合があります。1日いくらという感じです。
加えて、貸し画廊ではお客さんを呼ぶのが難しいです。
東京の貸し画廊でのグループ展に出品した経験がありますが、平日にはほとんどお客さんが来ませんでした。
皆で知人やSNSなどに盛んに広報したのですが、だめでした。
これでは、本当に虚しくなります。
なので、貸し画廊の場合は『短期開催にして、少なくとも案内した人たちには来てもらう』というやり方が良いようです。
ただし百貨店のように顧客がついている貸し画廊なら安心です。
そんなお店が見つかるとラッキーですね。
次に、ギャラリー付きのカフェやレストランです。
今回の私の初個展はカフェギャラリーで開催します。
プロからもそのように勧められました。
カフェギャラリーの方達は一般に、絵が売れることよりも、店内を絵で飾り立ててお客を呼ぶことに関心があります。
なので、作品がお店のイメージに合うとベストです。
お店のイメージに全く合わないと、展示は難しいかもしれません。
ところで、今回の場所はなんと出品料が無料、さらに、もし絵が売れてもマージンを払う必要もないです。
お互いwin、winの関係なのですね。
願わくば、お客の多いカフェギャラリーがいいです。
少なくとも作品が多くの人の目にとまりますから!
ただ、その際に『レストランやカフェのお客さんが絵を購入する・しない』は別の話です。
少し話がずれますが、
売れっ子の画家でも、フラッとカフェに立ち寄った方が絵を買っていかれるケースはほとんどないと言います。
所詮は、『画家の絵に興味がある』人にしか、買ってもらえないのです。
また『絵を買う人は、その作品に興味があるのはもちろんですが、その画家の人となりにも興味を抱く』と言われます。
芸術作品は各人の生き様を反映したものですしね。
最後になりますが、地元の公民館で個展を開催して成功した例もご紹介しておきます。
公民館の場合、通常は会場費が安価でしょうし、近場に画家の知り合いが多いので、何かとメリットがあろうと思います。
ただ、このような公共の場所は販売に使用されるのを嫌うケースがあります。
その点を事前に確認してください。
地方都市在住の方には良さそうですね。
ただ私のように近所付き合いが苦手な人間には、ややハードル高めです。😭
追加の話ですが、
今回の個展開催のため、私はnetで香川県内の貸し画廊やカフェギャラリーを調べて尋ね歩きました。
しかし、お店自体がなくなっていたり、場所が不便だったりで、なかなかこれ!という場所は見つかりませんでした。
近くに絵の仲間がおられる方は、紹介してもらえるのでしょうが。
もう半分諦めかけていた時に、ふと『学会のパーティで利用するレストランに絵が飾ってあったこと』を思い出し、早速、ダメもとで顔見知りのスタッフさんに相談しました。
すると、『福家さんも絵をやっておられたのですね。』(私が利用するのは、いつもトンネル技術の行事だけでしたので!)
『早く言ってくださいよ、いつにしますか?』
と嘘のような展開!
トントンと話がまとまった次第です。まさに灯台下暗しですね。
幸いにも、ここは高松の大規模イベントホールの建物内にあり、瀬戸内海が見える素敵なレストランです。
作品の揃え方
次に、お客様の目を引く品揃えについて書きました。
まず、作品サイズが大事です。
プロの教えは、次の通りです。
「大きい作品は数点にしておき、中→小と作品をだんだんに増やしていき、特に売れやすいSMやF0を多くする」
いわゆる、出品サイズのピラミッドを示してくれました。
参考に、私の今回の展示内容をあげておきます。
手持ち絵画の関係で、完全にプロの指示通りにはなっていませんが、大まかにご理解いただければと思います。
- F20:1点
- F10:2点
- F 6:4点
- F 4:4点
- F 3:3点
- SM : 5点
- F 0:1点
- 合計20点
小さい絵を多くするのは、そもそも日本の部屋には大きい作品は飾りにくいからです。
また、絵の顧客を抱えた百貨店と違って、カフェギャラリーなどですと売れる絵の値段がせいぜい数万円までだからです。
飾りやすくてリーゾナブルだと割りに気軽に買ってもらえます。
ただし、やや大型の作品があると展示が目を惹くので、大型作品数点を混ぜておくという考えです。
また小さい作品は、売れた時のために予備を用意しておきましょう。
せっかくのチャンスを逃してしまわないように!
次に大事なのが、『同じ系統の作品ばかりにしない』ことです。
これは、お客さんを飽きさせないという意味でもありますが、
「せっかくの機会なので、異なる技法の絵や違ったモティーフの絵も用意して、お客様の反応を見る」ためでもあります。
というのも、
個展のメリットは『自分の絵に対する、お客様の好みや評価に気づける』ことでもあるからです。
人それぞれでしょうが、私はお客様に喜んでもらえることを大切にしています。
『お客様が好む、私の作風』=『私の特徴であり強み』だと考えています。
しかし、決して『お客さまの好みに合わせて無理して作風を変える』という意味ではありません。
『自分の好み』と『お客さまの好み』の接点を見つけ、自分の作風に活かしていきたいと思っています。
話を戻しますが、
展示内容が極端にバラバラだと、この画家さんは『いったい何をしたいのだろう』と思われてしまいます。
あくまでも、全体的な統一感は必要です。
チラシやポスターの作成
私はこんなチラシ(A4サイズ・片面)を作りました。
初個展なので、盛りだくさんの内容にしてみました。
- 展覧会タイトル/サブタイトル
- 主な出品作品写真ー3点
- 展覧会の場所(地図も)、期間、営業時間、休日
- 作家氏名・挨拶
- 作家略歴・画暦
- 絵のモティーフや描き方
今回のチラシの作成にあたっては、絵が好きな人に向けて作ろうと考え、可能な範囲で情報を盛り込みました。
名前も売れていませんしね。
制作はこんな手順でした。
チラシの画像制作には、macbookに装備されている、無料イラストアプリ・メディバンペイントを使いました。背景画像は、イラストACというアプリから無料のイラストデザインを探しました。
メディバンペイントはいつも使っているアプリなので、割に簡単に制作できました。
印刷はラクスルに発注、300部で 数千円でした。
(後で500部増刷しました)
アプリがなければ、ラクスルのテンプレートを使うと良いかも。
ラクスルは100部単位で発注できるようになっており、納期を1週間ほどに設定すると、かなり安価でした。
なお、『チラシに使う絵の写真』は『実際に展示する作品』にしましょう。
チラシの絵を気に入って見に来られる方もおられますので。
マスコミへの案内
個展がマスコミに紹介されると、大きな宣伝効果がありますので、必ず、マスコミに案内状を送っておきましょう。
ただし、取り上げてもらえるかどうかは相手次第ですが、上手くハマると取り上げてくれます。
送り先は、次のようなところです。
- 総合新聞各社
- 総合新聞各社の地方支局
- 自分の地元新聞
- 自分の地方テレビ局
- 関係する専門誌など
開催の三週間前くらいが良いようです。
送付する内容は次のようなものです。
- 個展開催を知らせるプレスキット
- 個展のチラシやパンフレット
- 名刺
- 作品のポストカードー3点
以上について、少し補足します。
プレスキットには、次の情報を盛り込みます。
- 掲載お願いの言葉
- 個展情報
- 画家情報(経歴・画歴)
- モティーフや技法の情報
早い話、記者はこの文章からピックアップして記事にするので、わかりやすくて、簡潔、できれば読者が興味を引く内容にしておきましょう。
特に、他の画家と違う点があれば、強調しておきましょう!
文章主体でokです。
信頼してもらえるように、顔写真を付けしたり、自身のホームページがあればQRコードも添付しておきましょう。
次に名刺です。
場合により、記者から取材の連絡が来ますので、名刺には電話番号やメールアドレスを記載しておきましょう。
私の名刺は、スピード印刷のテンプレートを使って画像制作し、それを印刷をしてもらったものです。
200枚/2500円ほどで、発注後1週間以内に入手できました。
センスのない名刺!と言わないでくださいね!😀
最後に作品ポストカードです。
新聞掲載などに使ってもらうため、同封しておきます。
なので、白黒にしても見栄えするような、明暗が明瞭な作品を選びましょう。
知人への案内
知人には2週間くらい前に案内すれば良いでしょう。
とは言え、気が引けて誰かれ送れませんよね。
初個展の場合は、挨拶がてら遠慮せずに軽い知り合いでも送って良いかと思っています。
チラシに簡単な案内文を添えて、広く送っておきましょう。
知人が多い方は、別に案内ハガキを作ってもいいですね。
私は、シニアなので、現役時代の友人にお願いして社内などにチラシを配ってもらいました。
なので、チラシだけはどんどん捌けて、増刷した次第です。
ありがたい限りです。
これ以降は次回に!
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
今回はここまでにさせてもらいます。
次回は、展示の仕方などを主体に解説します。
今回の初個展、プロの指導に従ってできるだけ忠実に準備していますが、実際どんな結果になるのか、全く想像できません。
正直なところ、大いに不安であり、一方で楽しみでもあります。
話は変わりますが、
私は、坂本龍馬の『転ぶ時も前のめりに転ぶ』という生き方が好きです。
例え転んでも、立ち止まらず・後戻りせず、何かをつかんで前に向かっていく、そんな感じでしょうか。
現代では、何も殺されるわけではありませんしね。
とりあえずやってみます。
最後になりますが、
このように、他にも「個展・グループ展」について取り上げています。
是非とも、こちらから確認してください。
また、いろんなカテゴリーのページがありますので、ホーム画面にも是非ともお立ち寄りください。